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リバースコマースからみるCtoCビジネスの変遷

リバースコマースからみるCtoCビジネスの変遷

リバースコマースとは、ネット上において売り手が商品やサービスを販売するのではなく、
買い手がほしい物を提示し、1人以上の売り手がそれを作るeコマースの手段である。
主に買い手のお題に対し、クリエイターやデザイナーに対し企画やデザインを募り
マッチしたものを発注するという流れが多い。

TechDollでキュレーションサイトFancyの紹介記事に出現した言葉だ。
http://www.techdoll.jp/2012/03/23/fancy_fancystory/

私が知る限りではこの分野にコマースという言葉を冠した呼び名は初めてだ。

要はネット上でのCtoCのビジネスモデルだ。

6年ほど前、私はインターネットの特性から、
CtoCが伸びると予想し、クリエイターのマッチングサイトを作った。
(リバースコマースの機能もオーダーメイドという言葉で実装していた)

当時はyahooオークションが全盛であり、
CtoC=オークションというのが常識であり、yahooのオークション担当者も自負していた。

もう一つの動きとして、当時mixiが上場し、SNSという言葉が一般的になっていた。

個人利用におけるインターネットの変遷として当時私は
1. 情報、2. ショッピング、ときて、3.コミュニケーションが浸透し、
個人がインターネットを利用する上ではこの3つのいずれか1つ以上に強みがなくてはならないと思っていた。
(それは今でも正しいと思っており、これに4.ゲームがさらに追加されていると思っている)

コミニュケーションは近況の報告や趣味の共有などから始まるが、
1.情報は既に生活に密着しており無料であるために、
自然とコミュニケーションの中に入り込んだ。
= 1.情報と3.コミュニケーションのコラボレーションは自然に成立した。

次に考えられるのが2.ショッピングと3.コミュニケーションのコラボレーションだが、
これは大きな成功事例=文化として未だ成立していない。

その前に成功したのが、4.ゲームと3.コミュニケーションだ。
greeやdenaが大手だが、コミュニケーション+競争、団結、共有の要素を合わせ、
従来のゲームにさらなる価値を創造し、成功した。

そうなると、唯一成功していないのが
2.ショッピングと3.コミュニケーションのコラボレーションだ。

2.ショッピングは、1.情報、4.ゲームに比べ
直接的な市場規模ははるかに大きい。
これに気づき、この分野に手を出してみるサービスは時折見られる。
このような動き、若しくはこれに近い動きは色々とあった。

・ジオメディア
・共同クーポン
・比較、口コミサイト

どれも真のEC、コミュニケーションは生まれていない。

話は戻るが、前述の私のクリエイターのマッチングサイトは結論として失敗した。

学生だった私のノウハウや資金力をのぞいたとして、
私が考える失敗の理由は、

a. 個人の信用力
b. コミュニケーションする理由

だと思っている。

aは当時分厚い壁があり特に日本では高い壁と言われていた。
しかしFacebookが低くしてくれたお陰で、
買い手の安心感はかなり担保されてきている。

問題はbだ。
前述の例で言うと、

・ジオメディア
コロカなど他のユーザーに対する優位性を示すという理由を定義している。
しかし土台のジオメディア自体に前述1~4の特性が弱いため、
文化として成立するまでには至っていない。

・共同クーポン
非常に良くできたモデルだが、コミュニケーション制は弱い。
ユーザー同士はクーポンが成立するためのパイでありそこにコミュニケーションは無い。
(チケット販売などグルーピングされたコミュニティに対する商品であれば変わってくるかもしれない)

・比較、口コミサイト
これらは1と2のコラボレーションであり、
さらにコミュニケーションまで加われば大化けする可能がある。
しかし現在は継続のメリットがない。
コミュニケーションが生まれていない。

まとめると、
CtoCでの成功 = 3.コミュニケーションと2. ショッピングをコラボレーションさせるには、

・買い物をコミュニケーションにつなげる
・自分+買い物 = セルフブランディングという意味づけ
・売り手とその商品の安全性の担保
・継続するメリット
・ここで買うメリット

の5つを満たすことが必要である。

クリエイター系のサービスは、商品のオリジナル性と汎用性から
これらの項目を満たしやすい。
さらにfancyではキュレーションやマイクロファンドといった付随サービスが充実しており、
ユーザーに継続するメリットを与えている。
売り手の安全性もソーシャルとの組み合わせである程度担保できる。

しかしクリエイター系サービスは決まった問題にぶち当たる。
それは商品力だ。
クリエイター商品は良いものも多いがブランディングが弱い。
要は プレタポルテ > オートクチュールなのだ。
そのユーザーのマインドを少なくとも
プレタポルテ >= オートクチュール
という状態に変えることが
同類サイトが越えなければならない壁であり最重要課題だと私は思う。

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著者近影

HOSHINO

ECのことを中心に書きたいと思います。 ネタが無いときはプログラムやデザインのことも書きます。

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