STERFIELD

2018/05/09

新興国でのECの実情

新興国でのECの実情

先日ホーチミンに行ってきた。

色々と現地ECの実情を聞く機会があり、そのまとめと、カートとしてどうなっていかなければいけないか対策を検討した。

 

①メールを見ない

新興になればなるほどメールを使わない傾向にあるようだ。

メールは廃れゆくツールであることをあらためて実感した。

基本はSMS、もっと先を見据えると電話も同じく廃れゆくツールであり、
SNSやチャットサービスが最も望ましいコミュニケーションツールであるようだ。

カートとしてはSMSは絶対で、それに加えてSNS、チャットサービスと接続し、顧客ごとにコミュニケーションツールを選べるようになればコミュニケーションミスをなくすことができそうだ。

管理画面としては運営者はコミュニケーションツールを意識せず顧客とのやりとりやマーケティングができれば、手間を簡素化させることができ利用価値が高くなる。

 

②カートとか使わない

仮にあったとしてもチャットのお問い合わせ窓口や、場合によってはFacebookページを探し出してそこから注文してくるようだ。

商品を選択 → 個人情報を入力 → 支払方法を選択 → 購入

という機械的なフローが定着していないというのもあるが、話を聞く限りまだまだECが導入期にある時点では信頼感を得るためにチャットを選択するケースが多いようだ。

少なくともベトナムにおいてチャット購入は絶対に必要なツールであることは間違いない。

カートとしては、商品説明としてLPは必ず必要となり、そこから一応は機械的に購入できるフォームは用意しておいた方が良さそうだ。なのでここまでは従来のフォーム一体型LPを流用できる。

しかしこれだけでは足りないので、フォームとは別にチャット窓口へのリンクを用意する必要がある。

現在の通販業者は知る限り皆Facebookや日本で言うLINEのような現地の最大手のチャットツールにリンクさせてやり取り→購入まで対応している。

カートとして悩ましいのはカートとしてチャットツールを用意するべきかどうかだ。

メリットはカート上のチャットツールであればそのまま注文を作成できる。

デメリットはFBやLINEを介すことでの信頼性を享受できない点で、もしこの影響が大きいのであれば最悪使われないものになってしまうかもしれない。

 

③すごい返品される

これは皆さん口を揃えて仰っていた。

国にもよるかとは思うが、返品することが購入者の当たり前の権利という概念が定着しているようだ。

通販業者も買い手市場である状態で縛りを強化することはできず、甘んじるしか無い状況のようだ。

聞いた話だと1つの欲しいものを複数社の製品を購入し、手元に届いた上で比較検討して残りは全て返品するということを当たり前に行う人もいるとのことだ。

 

カートの機能で返品率を下げるのは限界があるような気はするのだが、少なくとも返品処理にかかる時間を軽減することはできる。

日本はどちらかというと返品は例外処理に近いが、これを普通に起こりうるフローとしてカートに盛り込むことで在庫管理、倉庫との連携をスムーズにすることができると思われる。

例えばキャンセル後、入庫前のステータスとして「キャンセル待ち」ステータスを作ったり、CSV等による一括キャンセル処理をしたりと言った機能だ。

 

④顧客管理はエクセル

基本的にSNSやチャットサービスで注文を受ける場合はそれをまとめる必要があり、そのような専用ツールはないので皆さんエクセルで管理しているようだ。

注文数が少ない内は良いが、増えると当然煩雑になる。

さらに、運用を続けるうちに色々と不自由が発生するようで、例えば、ベトナムではまだまだ定期購入が一般的ではないのでリピートを促進しなければならず、メッセージを送信する場合はエクセルからデータを抽出しなければならない。

更にセグメントを切る場合もエクセルの機能の中で行う必要がある。

カートとしては、例えばGoogleスプレッドシートとの自動連携、CSVでの注文一括アップロードがあると便利だ。

あとは②で触れたがカートにチャットがありそこからの注文が増やせれば通常の注文データと同じ扱いができる。

 

まとめ

今までECサイトのグローバル化は

単品 → 総合 → モール

と拡大していくという持論を展開してきたが、

チャット → 単品 → 総合 → モール

という新たな視点をもつ事ができるようになってきた。

これを思考覚悟して形にすることで、日本企業の国際化のサポートができればと思う。

Author Profile

著者近影

スターフィールド編集部

SHARE

合わせて読みたい