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不景気と芸術

不景気と芸術

日本は成熟国として文化を高付加価値で輸出できるようになってきた。
デジタルコンテンツのスピードが最も早いのは当然だが
アニメやオタク文化の海外での反響にはびっくりだ。
一節では広義でのアニメ産業の輸出額は年間5000億円を超えていると言われている。
10年前はここまでの輸出産業になるとは予想できなかったのではないだろうか。

アニメを初めとしたサブカルチャーの発展は日本経済にとってとても良いことだと思う。
サブカルチャーも立派な芸術分野だと思うが、一方で純粋芸術に対する関心が低いのではと最近思う。

純粋芸術の教養は、服飾品や建築、家具などへの高い付加価値を創造する。
成熟国としての文化と組み合わせることによりブランドとなり、高い国際競争力を持つことができる。
せっかくアニメが開いた突破口をそれだけで終わらせないためにも、
日本もこの分野への投資をしてみてはどうかと最近思う。

優れた芸術作品は不景気に生まれやすいと言われている。
不景気になり格差が広がると社会生活の中で順当に出世してお金を得られるという流れを前提にできなくなり、
芸術という社会とはある種反対の分野へ夢や情熱を傾ける人が増えるからだろうか。

60年代から70年代にかけて、イギリスから始まった音楽文化は国境を超え全世界が熱狂した。
火付け役とも言えるビートルズも50年代というイギリスの不況期に青春を過ごした労働者階級が主だった。

その少し前、世界恐慌期にアメリカで行われたニューディール政策だが、
これにはもうひとつの側面があり、文化芸術の発展を促す計画が同時進行していたことはあまり知られていない。
フェデラル・ワンといわれる政策で、美術、演劇、音楽など様々な純粋芸術の振興を目的としたプロジェクトが1935年から行われていた。

これは国家レベルで行われた最大規模の芸術振興のプロジェクトだ。

以下はその成果の例

・美術
5000人~1万人が雇用され、20万点もの作品が制作され、さまざまなポスター・壁画・絵画・彫刻が作成された。
それらの作品は公共機関や学校や病院などに飾られ、2000以上のビルの壁面を覆い、国内で最も目立つパブリック・アートがいくつも誕生した(wikipediaより)

→ 美術教養の向上により、工業製品などのパッケージデザインなどのクオリティが上がった

・演劇
5000人~1万人強が雇用され、毎月1000回もの講演が行われ、新作1200本以上が創出された。
公演のうち80%が無料だったとされ、フェデラル・ワンの中で最も予算を使ったプロジェクト。

→ 現在のブロードウェイミュージカルやハリウッド映画の土台となった

・音楽
1万人~1万強が雇用され毎週5000回もの講演が行われ、新作5000曲以上が創出された。

→ 音楽の力で不景気の暗い空気を拭いモチベーションを向上させたらしい

その後の産業発展と、不景気への刺激策として有効に作用している。
これから不景気を脱却し、高付加価値の輸出産業を育成していかなければならない今の日本には一石二鳥だ。

さらには純粋芸術の発展はインターネットの質の向上も当然見込まれる。
まずは自治体などからこういった動きが出てくることを期待したい。と考えてみた

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HOSHINO

ECのことを中心に書きたいと思います。 ネタが無いときはプログラムやデザインのことも書きます。

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