2020/07/03
【書評】誰も教えてくれない 問題解決スキル
はじめに
世の中に存在するあらゆるビジネスは「問題解決」だと言うことができます。
相手の困りごと、すなわち「問題」を「解決」して、報酬をいただくことがビジネスの根幹だからです。
この場合における「相手」は顧客に限らず、上司であることもあります。
「問題をどれだけ上手に解決できたか」が、ビジネスの成果であり、会社や個人の評価や対価に繋がります。
今回はいかなるビジネスでも必要になる「問題解決能力」を養うべく読んだ本、
『誰も教えてくれない 問題解決スキル』の紹介です。
著者は株式会社プロセスデザインエージェント代表取締役、芝本秀徳さんです。
問題解決の基本
そもそも「問題」とはなにか
「問題」という言葉の意味合いについては、本書の序盤で以下のように定義されています。
問題とは「『現状(As is)』と『あるべき姿(To Be)』とのギャップ」のことをいいます。
「問題とはギャップである」と、まず覚えてください。
問題は「現状」と「あるべき姿」の両方があって初めて存在します。
つまり、「現状」と「あるべき姿」との関係性が生み出すもの、それが問題です。
問題の定義が定まったところで重要になってくるのが、以下の2点です。一つずつ解説します。
・どうやって問題を捉えるか
まず「問題そのものを見つけ出そう」という姿勢では行き詰ってしまいがちです。
そこで前述の通り、「問題とは「現状」と「あるべき姿」のギャップ」として考えてみます。
そうすると、まず最初にすべきことは「現状認識」であることが自ずと分かってきます。
多くの人は描きやすい「あるべき姿」ばかりを重視してしまいますが、これは誤りです。
最も重要かつ大変なのは既に当たり前になってしまっている「現状」の見える化です。
現状が理解できていなければ、必然的にあるべき姿も分からなくなってしまいます。
「現状理解」なしに問題意識が生まれることはありえない、と理解しましょう。
・どの視座/スパンで問題を捉えるか
前項を参考にして、一旦「現状認識」が完了できたとしましょう。
しかしその「現状」を認識した上で「これは問題である」と捉える人とそうでない人が出てきます。
これは何故でしょうか?それは「あるべき姿」が人によって異なってくるからです。
例え「現状認識」は一緒であっても、「あるべき姿」が違えば「問題」も違ってきます。
この違いが何故生まれてくるのかというと、人によって「視座/スパン」が違うからです。
ここで言う「視座」とはどの抽象度から見るか、「スパン」とはどれくらい先を見通しているか、です。
一般的な企業であれば、大雑把にまとめても以下のような構造になっていることが多いかと思います。
- 企業としてのビジョンや全社戦略を常に意識している社長・経営層
- 「ビジョンや全社戦略」を事業戦略や業務計画としてまとめる管理職層
- 作業レベルに落とし込まれた「事業戦略や業務計画」を実務で対応する一般社員層
数ヶ月・数年スパンで企業としての行く末を見据えている社長・経営層と、
一週間・一日・一時間スパンで実務としての作業に終われている一般職層では、
当然ながら、「視座」や「スパン」が全くと言って良いほど異なってきます。
現場レベルでは深刻な問題として認識されている事象でも、社長・経営層は大した問題と捉えていない、
と言った事態この「視座」と「スパン」の違いによって生まれてくるものなのです。
この点はともすると忘れがちなので、問題解決に取り組む際には常に意識するよう心掛けていきましょう。
まとめ・所感
自分自身の経験に照らし合わせても、問題の捉え方に関してはかなり納得のいくものでした。
現状認識をせずに耳障りの良い目標を闇雲に掲げてしまうことがいかに危険かを再認識できました。
個人やチーム単位で現状認識を行うことを常に意識していくことが問題解決の第一歩かと思います。
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スターフィールド編集部
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