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かつてあった不動産オークション「マザーズオークション」

かつてあった不動産オークション「マザーズオークション」

提案前に調べたことをアウトプットします。

今はなき「マザーズオークション」という透明性、中立性を売りにした不動産のオークションがありました。

最後は、需要と供給のバランスが崩れ、低い落札率が続き、売り主側も離れていく循環に陥り、オークション市場として成立がしなくなり2011年に閉鎖されるという状況になりました。

時代を先取りし過ぎたや、不動産業界にマッチしなかったなどと言われていますが、いまさらですが、当時のサービス内容や失敗の原因などを調査してみました。

売り手側の費用

  1. 入会金…300,000円
  2. 月額…100,000円
  3. 成約時…0.5%

買い手側の費用

  1. 成約額200万円以下…5.25%
  2. 成約額200万円超~400万円…4.2%+21,000円
  3. 成約額400万円超~…3.15%+63,000円

仕組み

  • 上限なし競り上がり方式
  • 入札日より7日間以内に更なる入札がなければ落札
  • 売却価格を下回る値下げ交渉昨日

掲げていた理想

  • 売主は高く売れる
  • 買主は適正価格で物件を取得できる

失敗の原因を探る

図1

①同じものが二つないので本当に適正な価格が分からない。

→それは市場が決めるという理想と現実

②両社の心理の差に乖離が生じている。

→売り主の心理状況が強く反映したまま、最初から乖離が大きいまま寄り付かない状態

③不動産業者の商慣習

→透明性を売りにするばかりに必要書類が多数あり、不動産業者に対する足かせとなった

④満額の仲介手数料

→今まで通りの相対取引との差がなく買い手側にお得感を見いだせなかった。

当時の状況を振り返る

2009年時点で閑古鳥となっていたようです。

閉鎖される直前の状況かと、こうなるともう残念ながら終わりですね。

2008年時点でブログ記事にしている方がいらっしゃいました。

http://blog.livedoor.jp/yuraku_love/archives/51181890.html

考察

プラットフォームを創造するというのは、数多ある事業の中でも非常に難易度が高いことを知っている。

それだけにキャズムを超えたプラットフォームというのは築いたプラットフォーム上でビジネスが成り立っていくので、とても安定的にプラットフォーマーが利益を得ることが出来る。

しかしながら、その需要と供給のバランスを取りながら、売り手、買い手、プラットフォームがそれぞれwinwinでなければプラットフォームビジネスは成立しない。

とてもよくあるパターンが供給側が伸びず、需要が離れていき、やがて供給側もプラットフォームに乗るメリットを見いだせなくなり、過疎化し、衰退する。

オークションでもSNSでも競りでも原理は一緒でそこにエコシステムを築くことが出来なければ失敗する。

マザーズオークションにおいても、失敗の原因に上げたところから売り手の心理、業界の商慣習といったところが、供給を阻み、買い手としても物件数が少なく、仲介手数料も同じため、不動産屋が親身やってくれるとしたら相対取引と何が違うのか?という状態になり、最後はプラットフォームあるあるの衰退への道を辿ったのではないだろうか?

かつてはTVCMも流し、買い手を大きく募る戦略にでも出ていたマザーズオークションだが、巨大な市場かつ歴史と特有の商慣習を持つ業界へのインターネットを利用した新しいプラットフォームの創造はまだ険しかったということだろう。

Author Profile

著者近影

YUJI MEZAKI代表取締役副社長

代表取締役副社長をやっています。 越境ECとWebマーケの営業担当しています。 なんでもカリカリにチューニングして生産性あげるのが好きで勉強したビジネスフレームワークの記事多め。 趣味はPC自作で会社のWindowsデスクトップはほぼ自分が組みました。 1985年生/2008年早大卒/

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