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Claude Codeで始めるISSUE駆動開発

Claude Codeで始めるISSUE駆動開発

はじめに

Anthropicが提供するCLIベースのAIコーディングエージェント「Claude Code」を使った開発ワークフローをご紹介します。

Claude Codeの特徴は、ターミナル上で動作し、GitHubのISSUEやPRと直接連携できる点です。これにより、ISSUEを起点とした開発フローを非常にスムーズに進めることができます。

Claude Codeとは

Claude Codeは、Anthropicが提供するCLIベースのAIコーディングエージェントです。ターミナルから自然言語で指示を出すだけで、コードの生成・修正からGit操作まで一連の開発作業を自律的に進めてくれます。

Claude Codeの基本的な使い方やインストール方法については、前回の記事「Claude有料版を初めて使う開発者向けガイド」で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

本記事では、Claude Codeの中でも特に強力なGitHub連携機能を活用した「ISSUE駆動開発」のワークフローに焦点を当てて紹介します。

ISSUE駆動開発とは

ISSUE駆動開発は、ISSUEを起点として開発を進める手法です。GitHubやGitLabなど、ISSUEトラッカーを持つサービスで実践できます。すべての作業がISSUEに紐づくため、以下のようなメリットがあります。

  • トレーサビリティ: なぜその変更が行われたかが明確
  • チーム連携: 作業状況の可視化と共有が容易
  • 品質管理: レビューとテストのプロセスが明確

Claude CodeによるISSUE駆動開発ワークフロー

Claude Codeを使うと、ISSUE駆動開発が驚くほどスムーズになります。以下に実際のワークフローを紹介します。

Claude CodeはCLAUDE.mdという設定ファイルでカスタマイズできます。今回のワークフローでは、CLAUDE.mdという設定ファイルに「ISSUEのURLが提供された場合はghコマンドで内容を確認する」といった指示を記述しておく必要があります。

1. ISSUEの確認と計画立案

1> #123のISSUEに対応してください

このように指示すると、Claude Codeは以下を自動で行います。

  1. 1gh issue view 123
    でISSUEの内容を取得
  2. 要件を分析し、TODOリストを作成
  3. 仕様や設計に不足があれば指摘し、見直しを促す
  4. 作業計画を提示して確認を求める

ここで重要なのは、AIとの議論を通じて明確になった仕様や設計をISSUE側に反映させることです。これにより、ISSUEが単なるタスク管理ではなく、ISSUEが開発の意図や設計の背景を記録した、生きた仕様書として機能するようになります。

2. ブランチ作成と実装

計画が承認されると、Claude Codeは以下のワークフローを実行します。

  1. フィーチャーブランチを作成(例: dev/123_add-user-validation)
  2. 必要なファイルを特定し、コードを実装
  3. 動作確認やテストを実行
  4. 問題があれば修正を繰り返す

3. PRの作成とレビュー依頼

実装が完了すると、Claude Codeは変更内容をまとめたPRを自動作成します。

1> PRを作成してください

PRには以下が自動で含まれます。

  • 変更内容のサマリー
  • テスト計画
  • 関連するISSUEへのリンク

やってみた所感

実際に3ヶ月間、このワークフローで開発を続けてきました。その中で得られた気づきを共有します。

既存プロジェクトへの導入のしやすさ

最も大きなメリットは、今まで使っていたGitHub ISSUEをそのまま活用できる点です。新しいツールやフローを導入する際、既存の運用を変える必要があると導入コストが跳ね上がりますが、Claude CodeはGitHubのISSUEを直接読み込んで内容を理解するため、既存のプロジェクト管理をそのまま維持できます。

この3ヶ月間、ほぼ全ての実装作業をClaude Codeに任せることができています。ISSUEを起点にした開発フローが確立されていれば、導入は驚くほどスムーズです。

AIを信じて任せることの重要性

運用を続ける中で気づいたのは、細かくやり方を指示しすぎない方がAIの能力を発揮してくれるということです。

最初は「このファイルを開いて」「この関数を修正して」と細かく指示を出していましたが、それではAIの自律性を活かせません。「#123のISSUEに対応して」とだけ伝え、計画立案から任せる方が、結果的に質の高いアウトプットが得られます。人間が想定していなかったより良いアプローチを提案してくれることも少なくありません。

伴走スタイルがベストプラクティス

一方で完全に自律させるのではなく、あくまでも「伴走」というスタンスを維持することをおすすめします。

AIに複数のタスクを並列で任せたり、完全に放置して自律的に進めさせることも技術的には可能です。しかし、そうすると人間側のレビュー工数が一気に増え、かえって非効率になります。1つのタスクをAIと一緒に進め、要所要所で確認しながら進める「伴走スタイル」が、現時点ではベストプラクティスだと感じています。

「人間がISSUEを作成し、AIが実装する」という一方通行の役割分担ではなく、ISSUEを軸に人間とAIが協働しながら開発を進める。これがClaude Codeを活用したISSUE駆動開発の醍醐味だと感じています。

まとめ

Claude Codeを使ったISSUE駆動開発は、開発ワークフローを大きく効率化する可能性を秘めています。特に、ISSUEの確認からPR作成までの一連の流れをAIがサポートしてくれることで、開発者はより本質的な設計や問題解決に集中できます。

設定ファイルを活用すれば、チームのコーディング規約やワークフローをClaude Codeに教え込むことも可能です。これにより、チーム全体で一貫した開発スタイルを維持しながら、AIの力を借りることができます。

AIコーディングエージェントはまだ発展途上ですが、開発者の強力なパートナーとなる未来は確実に近づいています。皆さんもぜひ、Claude Codeを使ったISSUE駆動開発を体験してみてください。

Author Profile

著者近影

ARIKAWA

バックエンドエンジニアです。 自転車が好きです。

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