2021/09/04
デザインリサーチとは1
WEBデザインの問題で改善が必要になったとき、いろいろな意見をどう整理して形にしていったらよいかで悩んでいたときに、以下の本に出逢いました。
この本を探した目的は、デザインする際、どのように情報を収集・整理したらよいかを改めて勉強するためだったのですが、
この本に書かれていた内容は、デザイナーの職種を超えて、問題解決のアイディアを形にするものでした。
自分なりにこちらの内容をごく一部ですが整理してみました。
デザインが対象とするプロダクトと範囲の広がり
19世紀に生まれた最初のデザインの対象はグラフィックのみでした(第一次デザイン)。デザインの手法はこの第一次デザインがベースとなっています。そこから20世紀にモノのデザイン、つまりインダストリアルデザインに広がります(第二次デザイン)。1980年代からは行動や体験をデザインするインタラクションデザイン(第三次デザイン)、2000年代には更にそこに持続可能性を考慮したデザインであるサービスデザイン(第三次デザイン)、そして2010年代にはビジネス・組織・教育・政府を対象としたシステムデザイン(第四次デザイン)にまで広がっています。この広がりの背景には、プロダクトの意味がモノからサービスへと移行してきたことがあり、それに伴い、デザインが必要とされる範囲もいろがってきたと考えられます。
この変化の中で、デザインの視野も同時に変化してきました。作り手の都合からユーザーの都合へ、ユーザーの都合から社会の都合へ、社会の都合から環境の都合へ。デザインの視野が広がるにつれ、そこに必要とされる要素も増えてきますので、綿密なリサーチが必要となってきます。
デザインの範囲がこれだけ広がってくると、必要な専門知識も広くなってくるため、デザイナーだけでデザインすることにも限界があり、職種をまたいでデザインしていく必要性も出てきます。
マーケティングリサーチの限界とデザインリサーチの可能性
未来の不確実性により、「十分に明確な未来」「選択的な未来」「ある範囲内の未来」「予測できない未来」に分けられます。
プロダクトの黎明期においては、十分に明確な未来となり、何を開発すれば売れるかという競争原理が明確です(CPUのクロック数を上げる、デジカメの画素数を上げる)。
プロダクトが成熟してくると、競合が増え「選択的な未来」となります(ブルーレイとHD DVD)。
更に先の未来を予測する場合には、「ある範囲内の未来」となり、ある程度の範囲に落ち着くことはわかっているが、いつになるかはわからないケースが出てきます(AIの浸透)。
更に会社の将来など、「予測できない未来」があります。
マーケティングリサーチで用いられるロジカルシンキングは確実性の高いリサーチに強く、不確実性が高いリサーチに弱いという問題があり、現在の変化が多く不確実性の高い時代においては不利となります。現代においては情報の入手が容易で競合との差がつけられない反面、情報が非常に膨大でロジカルな手法では把握しきれないという問題があるためです。
一方のインスピレーションを主軸とするデザインリサーチは不確実性が高いほど威力を発揮するため、今の時代において必要性が高まっています。競合がいない状況では一人ひとりにフォーカスするよりも、人々を大きく括ってプロダクトを作るほうが理にかなっていますが、競合が登場すると、一人ひとりがどのように生活しているかを知り、ニーズや要望を深く理解する必要があります。デザインリサーチではプロダクトに関わる一人ひとりにフォーカスし、そこからインスピレーションを得てアイディアにつなげていく手法を取ります。また、類推というデザインでよく行われる手法により、直接関係のないユーザーから新たなニーズを引き出すことも可能です。
同じく不確実性に対応するための開発手法であるアジャイルに自然に組み込むことができるのも、デザインリサーチ導入のメリットです。
デザインリサーチの軸となるデザインプロセス
デザインリサーチの軸となるデザインプロセスでは、Descover(課題を洗い出す)→ Define(課題を絞り込む)→ Develop(課題を洗い出す)→ Deliver(解決策を絞り込む)という発散・収束を繰り返す4段階を通過します。
実際にはDevelopからDiscoverに戻る、解決から新たな課題を見出し課題に戻るというループを経ます。
Author Profile
NINOMIYA
Webデザイナー兼コーダー出身のフロントエンド開発者です。 UXデザインやチーム開発の効率化など、勉強中です。
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