環境に配慮したグリーン物流とは?
はじめに
EC業界、そしてそれを支える大きな柱の一つである物流の世界でも、環境に配慮した企業活動が求められています。
エコ物流またはグリーン物流とは、その名の通り、環境に配慮した物流のことですが、物流システムの改善により、物流段階におけるCO2排出量を削減する取り組みの総称でもあります。越境ECでは、販売先国の消費者が環境への配慮が高い場合、企業がどのような物流業者を選んでいるか、どのような梱包材を使っているか、という部分で、比較されることもあるそうです。もちろん、環境への配慮が重要なことに変わりはありませんが、環境に優しく、消費者に選んでいただけるのであれば、一石二鳥ですね。
今回は、海外についてご紹介する前に、日本国内ではどのようなグリーン物流の取り組みがなされているのか、まとめてみました。
モーダルシフト
エコ物流の主な方法として挙げられるのは、輸送手段の切り替えや改善です。例えば、輸送手段を大規模なものに切り替えたり、輸送拠点や輸配送をとりまとめたり、輸送車両そのものを大型化したりして、二酸化炭素排出量を減らすといったものです。輸送手段の切り替えることをモーダルシフトといい、多くの企業が取り入れています。
例えば日本貨物株式会社(JR貨物)では、大量性・定時性・環境性といった特製を持つ鉄道へのモーダルシフトを推進しています。
JR貨物によると、貨物列車26両分は10t トラック65台分の輸送が可能。また、その輸送単位当たりのCO2排出量は、トラックの約11分の1、鉄道は環境負荷が最も少ない輸送手段の1つです。つまり、CO2排出量が抑えられるだけでなく、長距離になればなるほど、輸送コストも低減できるのです。実際、モーダルシフト対策として、複数の某大手食品会社がJRコンテナの活用を始めています。また、鉄道のほかにも、船舶への切り替えを行う企業もあります。
エコな輸送車両
鉄道や船舶から降ろした後は、どうしても車両での輸送が必要になります。そこではどのような選択肢があるでしょうか。
- エコドライブ:「ゆっくり発進、ゆっくり停止」「アイドリングストップ」など
- 低公害車:ハイブリッド車、電気自動車
- 共同物流対策:1つのトラックの積載量を増やすために、他社や異業種間で共同配送を行う
- 自転車、リヤカー
輸送方法以外の取り組み
輸送方法だけが物流ではありません。
3R(リサイクル、リユース、リデュース)を考えて、包装材を選んだり、ゴミにならないように工夫した包装材を利用することもその一つです。また、物流倉庫の屋根に太陽光発電のパネルを取り付け、利用するエネルギーを生み出したり、倉庫でのフォークリフト稼働を削減したりすることも、グリーン物流に含まれます。
グリーン物流のマーク
※写真は「グリーン物流パートナーシップ会議」公式サイトをキャプチャしたもの
現在多くの企業がグリーン物流に取り組んでいます。どの企業がそうなのかは、「グリーン物流パートナーシップ会議」や「省資源ロジスティクス推進委員会」といった組織に参加表明している企業一覧を確認すればわかります。また、そういった取り組みを推奨する団体が貸与しているシンボルマークの有無も目印になるでしょう。
「グリーン物流パートナーシップ会議」はシンボルマークやロゴマーク(「ロジ君とエコちゃん」)を、「公益社団法人 鉄道貨物協会」は『エコレールマーク』を参加企業に貸与しています。
まとめ
いわゆるカーボンフットプリントに対する意識の高さで有名なのは、ドイツをはじめとした欧米諸国ですが、日本国内でもそういったことに目を向ける消費者も増えてきつつあります。EC業界においても、連携する物流会社選びにそういった視点が求められるようになるかもしれません。
《参考》ロジスティックス環境会議 , 環境展望台 , グリーン物流パートナーシップ
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TOMI
制作ディレクターとか進行管理とかリソース管理してます。 欧米もアジアも好きですが次は南米あたりに住みたい。
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