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2025/09/05

Looker Studio の使い方

Looker Studio の使い方

はじめに

データを分析する際、数値をそのまま眺めるだけでなく、グラフなどで可視化して視覚的に分かりやすくすることが重要です。 そんな時に活用できるのが、Google が提供する無料の BI ツールLooker Studioです。

今回は Looker Studio の基本的な使い方から、少し応用的な機能までを紹介します。

Looker Studio とは?

Looker Studio(ルッカースタジオ)とは、Google が提供する無料の BI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。

点在する様々なデータを一つに集約し、グラフや表、地図などを用いて視覚的に分かりやすいダッシュボードやレポートを自動で作成できます。

プログラミングなどの専門知識は不要で、直感的なマウス操作(ドラッグ&ドロップ)で誰でも簡単に見やすいレポートを作成できるのが大きな特長です。

以前は「Google データポータル」という名称で知られていましたが、2022 年 10 月に Google のデータ分析プラットフォーム「Looker」ファミリーに統合され、現在の名称に変更されました。

Looker Studio でできること

様々なデータソースへの接続

Google アナリティクス(GA4)や Google 広告、Google スプレッドシートはもちろん、YouTube アナリティクス、BigQuery(Google Cloud のデータウェアハウス)など、様々な Google サービスに接続できます。さらに、CSV ファイルのアップロードや、外部のデータベース(MySQL など)にも対応しており、社内外に散らばるデータを一元的に管理できます。

データの可視化(ビジュアライゼーション)

棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、地図、スコアカード、ピボットテーブルなど、多彩なグラフを作成できます。また、色やフォント、レイアウトを自由に変更し、ブランドイメージに合ったレポートを作成可能です。

インタラクティブなレポート作成

静的なグラフを並べるだけでなく、閲覧者が期間を指定したり、特定の項目で絞り込み(フィルタ)をかけたりできる「動的なレポート」を作成できます。これにより、レポートの閲覧者は自身でデータを深掘りし、必要な情報を得ることができます。

レポートの共有と共同編集

作成したレポートは、URL を共有するだけで、チームや顧客と簡単に共有できます。閲覧のみ、編集可能といった権限設定も柔軟に行えるため、安全なデータ共有が可能です。また、Google ドキュメントのように、複数人で同時にレポートを編集することもできます。

レポート作成の自動化

一度レポートを作成すれば、元のデータソースが更新されると、Looker Studio のレポートも自動的に最新の状態に更新されます。これにより、「毎週」「毎月」といった定期的なレポート作成の手間から解放されます。

Looker Studio の使い方(基本)

データ追加

今回はサンプルとして、気象庁のサイトからダウンロードした、以下のような気象データを使用します。

add_data_02.png

Looker Studio にデータを追加するには、ヘッダーメニューの「データを追加」ボタンをクリックします。

add_data_01.png

次に、接続したいデータソースのコネクタ(今回は Google スプレッドシート)を選択し、必要な設定を行って「追加」ボタンをクリックすると、データがレポートに追加されます。

add_data_03.png

スプレッドシートを選択した場合は、以下のように対象のシートやオプションを設定できます。

add_data_04.png

グラフ追加

上部のツールバーから「グラフを追加」をクリックし、表示されるリストから追加したいグラフの種類を選択します。そして、レポートのキャンバス上の任意の場所をクリックするとグラフが配置されます。グラフの種類は後からでも変更可能です。

add_graph_01.png

ディメンションと指標

Looker Studio では、主に「ディメンション」と「指標」を使ってグラフを作成します。

  • ディメンション: データをどのような切り口で見るかを定義する項目です(例:日付、商品カテゴリ、地域など)。グラフでは主に軸として使われます。
  • 指標: 集計・計算される具体的な数値データのことです(例:売上、ユーザー数、気温など)。グラフでは主に値として使われます。

例えば、折れ線グラフでディメンションを「年月日」、指標を「平均気温(℃)」に設定すると、以下のような時系列グラフが作成されます。

dimension_metric_01.png

コントロール

コントロールは、閲覧者がレポートの表示内容を動的に変更できるようにする機能です。例えば、表示するデータの期間を任意に変更したり、特定の流入経路だけのデータを表示するなど、インタラクティブな操作が可能になります。

コントロールは、上部ツールバーの「コントロールを追加」から追加できます。

control_01.png

先ほど作成したグラフに「期間設定」のコントロールを追加すると、以下のように閲覧者が表示期間を自由に変更できるようになります。

control_02.png

レポートの共有

画面右上の「共有」ボタンから、作成したレポートを他のユーザーと共有できます。共有する際には、「閲覧者」「編集者」といった権限をユーザーごとに設定できます。

share_01.png

Looker Studio の使い方(応用)

スタイル調整

各グラフや表を選択した際に表示される「スタイル」タブから、タイトル、フォント、色、凡例の表示などを細かく調整できます。レポート全体のデザインを統一したり、ブランドイメージに合わせたりすることが可能です。

layout_01.png

データ統合

データ統合は、複数のデータソースを 1 つのデータソースにまとめることができる機能です。これは、SQL の JOIN のように、異なるデータソースを共通のキー(結合キー)で紐づける機能です。

今回は例として、気象庁のサイトから追加でダウンロードした、別の気象データを使用して説明します。

join_02.png

メニューの「リソース」→「統合を管理」から統合の管理画面に移動し、「統合を追加」をクリックします。

join_01.png

結合するテーブルを選択し、それぞれのテーブルから使用するディメンションと指標を設定します。

join_03.png

次に「結合を設定」から、結合方法(内部、左外部など)や結合条件(キーとなるフィールド)を設定します。

join_04.png

統合して作成された新しいデータソースをグラフのデータソースとして選択することで、複数のデータソースをまたいだグラフが作成できます。

join_05.png

計算フィールド

計算フィールドは、既存の項目をもとに、演算子、関数、正規表現などを使って、独自のディメンションや指標を定義できる機能です。

ここでは例として、日ごとの寒暖差(最高気温 - 最低気温)を算出する計算フィールドを作成します。

メニューの「リソース」→「追加済みのデータソースの管理」からデータソースの管理画面に移動し、計算フィールドを追加したいデータソースの「編集」をクリックします。

calc_01.png

次に「フィールドを追加」→「計算フィールドを追加」をクリックします。

calc_02.png

calc_03.png

フィールド名と計算式を入力します。計算式には、四則演算や CASE 文、さらには様々な関数を使用できます。

calc_04.png

作成した計算フィールドは、通常のフィールドと同様に、グラフのディメンションや指標として利用できます。

calc_05.png

まとめ

今回は、Google が提供する無料の BI ツール「Looker Studio」について、基本的な使い方から応用的な機能までを紹介しました。 Looker Studio を活用することで、プログラミングの知識がなくても、様々なデータを可視化し、示唆に富んだインタラクティブなレポートを簡単に作成できます。

主なポイントは以下の通りです。

  • 多様なデータソース接続: Google 系のサービスはもちろん、CSV や外部 DB など、様々なデータに接続可能。
  • 直感的な操作: ドラッグ&ドロップでグラフや表を自由に配置し、レポートを作成。
  • 動的なレポート: フィルタや期間設定などのコントロールを追加し、インタラクティブな分析を実現。
  • 高度な機能: データ統合や計算フィールドにより、より深いデータ分析が可能。
  • 簡単な共有と自動更新: 作成したレポートは URL で簡単に共有でき、データは自動で最新の状態に保たれる。

本記事が、Looker Studio を使い始めるきっかけとなれば幸いです。

参考

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著者近影

AIROU

バックエンドエンジニアです。 猫とラーメンが好きです。

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