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ECの返品有償化が進むヨーロッパ 〜Asos編

ECの返品有償化が進むヨーロッパ 〜Asos編

はじめに

送料や返品が無料であることを強みの1つとして打ち出すオンラインショップは少なくありません。 しかしここ数年、特にヨーロッパでは返品を有償とする動きをあちこちで目にします。今回はその1つであるオンラインファッションプラットフォーム「Asos」の取り組みを紹介します。

Asosの有料返品はどんな内容?

Asosはイギリスで返品手数料を導入することを発表しました。ただし、この手数料はプラットフォームによって高い返品率と判断された顧客にのみ適用されるというものでした。

Asosはイギリスのオンライン専業ファッション販売業者です。今年4月、同社は会計年度の上半期に売上が18%減少したと発表しました。イギリスのオンラインショッピング利用者が実店舗に戻り、またSheinやTemuといった競合他社との競争も激化している状況です。 どうにか売り上げの減少幅を減らしたいと考えたゆえの選択なのかもしれません。

有料返品対象として選ばれた顧客とは?

先週末、Asosは返品頻度が高いと認定された一部の顧客に、メールでその旨を通知しました。しかし、どのような基準で選定されたかは明らかにされていません。

認定された顧客が、注文品のうち47.4ユーロ(40ポンド)未満の商品しか手元に残さなかった場合、ファッションプラットフォームは返金額から4.68ユーロ(3.95ポンド)を差し引きます。一方、顧客が40ポンド以上の商品を保持した場合は、返品手数料は無料となるといいます。

この変更は10月8日に施行されます。対象となる顧客には、注文時にウェブサイトで通知されます。また、この変更はロイヤルティメンバーにも適用されますが、彼らは注文額が少なくとも17.78ユーロ(15ポンド)以上の場合、引き続き無料で返品が可能です。

しかし、今回の新たな手数料は、「頻繁に返品する顧客」と判断されていない購入者には適用されません。「この変更は、すべての顧客に無料返品サービスを引き続き提供するためのものです」とAsosはBBCに語っています。「返品頻度が非常に高く、そのショッピング習慣によって無条件の無料返品提供が継続不可能な少数の顧客であっても、40ポンド以上の商品を保持すれば引き続き無料で返品が可能です」とのことです。

ユーザーの反応は?

しかし、このオンラインプラットフォームの顧客の中には、新たな手数料に対して不満を抱く人もやはりいるようです。苦情として多く上がっているのは、「Asosはサイズが不安定であると知られている」というもの。プラットフォームのサイズ設定には一貫性がなく、それが高い返品率の原因であると主張されているのです。

終わりに

イギリスのeコマース業界では、高い返品率は一般的な問題となっています。最近の調査によると、返品された衣料品の22%から44%が、二次顧客に再販されることなく廃棄されています。そのため、Asosが返品率を下げたいと考えるのは当然のことです。同社はすでに今年初めにフランス、ドイツ、アメリカで返品手数料の閾値を導入しており、また他社でもここ数年有料化に踏み切っているプラットフォームがあることから、この事例が特別とはいえません。

返品有料化がECビジネスにどの程度の影響を与えるのか、引き続き注視していきたいと思います。

参考

https://ecommercenews.eu/asos-introduces-return-fee-for-frequent-returners/

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著者近影

TOMI

制作ディレクターとか進行管理とかリソース管理してます。 欧米もアジアも好きですが次は南米あたりに住みたい。

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