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ベクトル台湾様

ベクトル台湾様

台湾へのビジネス進出や現地マーケティング、台湾から日本への観光インバウンド促進などあらゆるプロモーション活動を、企画から実行まで手掛けていらっしゃるベクトル台湾社。実は、PR事業で培われたノウハウをEC事業に活かして、台湾での自社EC事業も行われています。今回は、そんなPR事業者とEC事業者の二つの顔を持つ、ベクトル台湾総経理の木下研生様に、台湾のEC市場や、LaunchCartについてお話を伺いました。

事前のマーケティング調査で「リアル顧客」を想定する

PR事業を中心に行われている中で、台湾でEC事業を始められた理由を教えてください。

 ベクトルグループは、PR事業を主力としつつ様々な事業を手がける会社で、日本国内のグループ子会社でもEC事業を行っています。そこと共に、台湾での販売を2020年の7月に開始しました。日本や台湾でEC事業を始めた理由は、全ての産業がEC化していくのではないかと思っているためです。EC分野における組織全体の能力を磨いていくことで、PR事業とシナジーを利かせていきたいと思っています。

実際に台湾でのEC事業でPR事業でのノウハウが活かせた部分はありますか?

 マーケティング調査の部分ではかなりPR事業とのシナジーがあったと思います。販売前に、想定ターゲット層、10名以上と1対1のインタビューをして、どのような部分がマーケティング上のポイントになるのかを聞き出したりしました。使っていただいた感想を伺ったりもして、実際にご購入いただくであろう「リアル顧客」を想定することができました。こういった人たちに届くようなマーケティングは何か、ということで、メディアを選定したり、メッセージやクリエイティブを作成出来た部分は、かなり良かったと思います。

 今後、香港やシンガポールといった中華圏への多国展開も視野には入れているのですが、その際も現地でのインタビューは丁寧にやりたいと思っています。顧客像も日本、台湾、と異なるように、各国ごとに特徴があると思うので、クリエイティブやキャッチコピーのローカライズに活かせる情報収集は事前に行いたいですね。

商品選定から台湾でのローカライズを意識

まつげ美容液を選定されたのには理由はありますか?

 台湾現地での競争が少なく、台湾に合いそうなプロダクトを選びました。全てスキンケアやビューティー系の商材で、10商材ほどあったのですが、口紅やリップ、コンシーラーなどの商材は厚塗り感があって、湿度の高い台湾では爆発的に人気になることはないだろう、と判断しました。まつげ美容液の台湾国内の競争に関しては、通販専門の会社さんは1社しか台湾で展開していませんでした。また、ドラッグストアで販売されている会社さんの場合は、価格帯が異なったため、私たちの方がより高級ラインで訴求できると考え、まつ毛美容液から始めようということになりました。

日本と台湾での客層に違いはありましたか?

 少し違うなという実感はあります。日本の方は、ノーメイクで外出されることは、あまりないと思うのですが、台湾の方の場合、ノーメイクで外出される方もよくいらっしゃいます。まつ毛美容液という商品の特性上、メイクをされる人に買っていただけるという傾向があり、メイクをされる人はどのような人なんだ、と色々調べてみると、やはり営業だとか店舗販売など、対面でお仕事されている方にご購入いただいているということが分かりました。なので、そこは広告やキャッチコピーなどで意識しながらアピールしています。

価格の部分で優位性があり、定期販売にも対応しているLaunchCar

LaunchCartを選んでいただいた理由は何ですか?

 台湾のローカルのカートシステムなど、他社さんのサービスと比べさせていただき、最終的に価格の部分で優位性があり、かつ定期販売にも対応していらっしゃるということから、LaunchCartを選ばせていただきました。また、日本の通販企業様とのお取引もかなり多いことから、その辺りのノウハウもお伺い出来たらとも思いました。

 特に台湾のカートシステムの場合、定期販売の文化がまだ定着していないことから、そもそも定期販売に対応していないカートがほとんどです。また、月額費が売り上げに応じてアップする従量課金モデルのカートもあり、売れば売れるほど比率が高くなるのはコスト構造上厳しいと判断しました。

中長期的な成功には、現地理解、市場理解を深めてローカライズを

今後の事業展望について教えてください。

 今はまつ毛美容液を販売させていただいていますが、今後台湾独自で新たなプロダクトを作って販売していきたいと考えています。そして、前述しましたが、香港やシンガポールといった中華圏へ台湾から販売をしていきたいです。

台湾でのEC事業を検討中の方に、一言アドバイスをお願いします!

 越境ECは、海外進出の一歩目としてとても良い方法だと思っています。ただ、事業を中長期的に続けていくためには、売り続けないといけません。その場合、やはり現地理解、市場理解を深めていかないと勝てないと思うので、現地に進出されて現地ECに切り替えられるというのは1つの方法だと思っています。

 成功されている企業様は、皆様ローカライズをとても意識されていると思います。PR事業という業種柄、そして私自身が中華圏で10年以上働いている中で、進出のお手伝いをさせていただく時に思うのですが、マーケットに対する分析、つまり市場規模はどのくらいで、競合はどこで、何が強みで、消費者が購入される理由は何なのか、というところが調べきれずに進出されて競争で負けてしまうというところを沢山見てきました。そのため、自社の商品がどういうところが競争優位で、どこが消費者に受け入れられるのか、という部分は丁寧に戦略を練られた方が良いと思います。

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著者近影

MINGFAN

自称東南アジアオタク。SNSの中の人、メルマガの人です。アジアのマーケット事情やShopeeの運営系を中心に書いてます。

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