2019/06/12
欧州企業向けLaunchCartの販売
アジアは世界経済の中心となり、全ての先進国にとってアジアでの販売することは重要な経営課題になるということで、日本企業の次として欧州企業に販売するための準備のためベルリンに行ってきた。
現地のECや労働環境などをまとめた。
人材が豊富
すごいたくさんの国の人がいる
ロシア人は普通に多かったが加えて東欧系の人も多かった。
その他ヨーロッパ各国の人もまんべんなくいる印象で、アジア人はあまり多くない印象だった。
あとはもともとトルコ人が多く、最近ではシリア難民も多い。
アジア人は歴史上ベトナム人が最も多いらしく、その数は中国人を多く上回っているらしい。
2カ国語以上できない人が見当たらない
英語ネイティブの人は少なく、みんな母国語+英語は普通にできる人しかいなかった。
それプラスドイツ語ができる人や、その他ヨーロッパの国の言葉ができる人も少なくなかった。
中国語ができる人もけっこうおり、ドイツ語ができないロシア人とイタリア人が中国語で会話しているのには驚いた。
人件費が安い
自分が純粋なドイツ人とはほぼ話をしていないせいかもしれないが、正直お金をあまり持っていない人が多い印象を強く受けた。
家賃は上がっているとはいえ東京よりもだいぶ安いし、生活コストも低い。
事実以下のサイトを見るとドイツ国内で10番目、ヨーロッパ全体でも37番目と決して高い水準ではない。
https://www.numbeo.com/cost-of-living/region_prices_by_city?itemId=105®ion=150
ベルリンのJetroにも行ったのだが、Jetroの見解としても、エンジニアの給与において、ドイツは欧州主要国の中で低い水準にありその中でもベルリンは更に低いとのことだった。
仕事の概念
スタートアップがたくさん
スタートアップがたくさんというのは聞いていたのだが、本当にたくさんいて驚いた。
ただ、スタートアップというと聞こえが良いが、ただの個人事業主や、法人だとしても大したことをやっていない人がほとんどではあった。
なぜこのような文化になったのか理由を何人かに聞いたところ、ルーツは芸術家だという面白い意見があった。
もともと各種芸術家が多く企業への帰属意識は低かったという。さらにもともと移民が多かったことと二次大戦以降により古い建物が壊されてしまった影響で他のヨーロッパの伝統的な都市よりも新しい文化が起こりやすい土壌のようで、これらがベルリンの壁崩壊をきっかけに融合して今に至るとのこと。
具体的には音楽家はライブやイベントを開催して今のクラブ文化が生まれ、画家やアーティストはネットで自分の作品を販売し、デザイナーはネットで仕事を募集したらしい。
それが独自に発展し、2007年にRocket Internetが誕生した。2010年以降に同社などの成功が注目されるようになりネット系のスタートアップが更に増え、並行してコワーキングスペースが増えたというのが大まかな流れのようだ。
求人はポジションに対しての募集
仕事とか組織の概念は日本とかなり異なっていると感じた。
企業が人を募集するのはあくまでポジションに対してだそうだ。会社にとって重要なポジションになればなるほど。
なので会社で仕事を教えてくれるということは無いし、日本で言う新卒採用というのも基本無い。あくまで即戦力且つ結果を出せない人は会社に留まることができないというシステムのようだ。
大学等又はスタートアップを手伝うなどでスキルを身につける → 個人事業主やスタートアップとして活動して経験値アップ → 企業の良いポジションに就く or うまく行けば自分で事業化
というのがそこまで異端ではないキャリアなのかという印象を受けたのと同時に、これがベルリンスタートアップエコシステムの根源なのではないかと仮定した。
Agencyは主流ではない
これもなんとなくは聞いていたが実際に見ることで日本との違いを痛感した。
人材についても派遣など全然ないし、エージェントもよっぽど特殊な場合でなければ必要とされていない。
広告も自社でやるし必要であればポジションを用意してそれに長けた人材に成果を出してもらう。
個人も会社も身の回りのことは自分でやっていた。
なので逆にサービスを提供する側は尖っていないといけない。それをうまく伝えてパートナーシップを築くというのは日本の感覚よりもだいぶ難しく感じた。
EC業界
独自の生態系
アジアともアメリカとも違う独自の生態系があった。
カートだけでいうと、Shopify、Magentoは一定のポジションは築けていたが、ドイツ製、UE圏内製のカートが多数存在しているようだった。
ドイツ企業だけに絞ったカートの一例。
1. Spryker
ECのためのOSとうたっておりあらゆるデバイスに向けて独自サイトを運用できるツールとのこと。
OSと言ってはいるが実際は案件ごとにスクラッチで作っているようだ。
ただ見せ方がうまく勢いがあった。
2. shopware
実績が多いASP。
ASP自体の価格は安く収益はカスタマイズで得ている印象を受けた。
3. NOVOMIND
オムニチャネル、ネイティブアプリ、実店舗など幅広く対応可能なパッケージ。
カート以外もクレジットカードはAdyen、後払いはklarna、物流はDHLなどほとんどが欧州内のツールで完結しているようだった。
その他の例えばレコメンドエンジンやサイト内検索、CRMなどの内容はほとんど日本と同じだった。
構造はだいたい同じ
独ドメEC関係の構造はだいたい日本と同じだった。
倉庫会社があり、フルフィル会社があり、コールセンターがあり、翻訳会社があった。
そしてSEOやSNS、インフルエンサーを使って広告していた。
ただ日本と違うのは各サービスごとに国内だけ、ドイツ語圏だけ、欧州内だけ、世界中可など対応範囲と強みが各社にあるようだった。
越境が当たり前の世界
ドイツだけに限って言うと、まずドイツ全域で販売し、次にドイツ語圏に向けて販売を拡大するということが多いようだ。
とはいってもオーストリアもスイスも1000万人に満たないため、その後は英語圏やフランス語圏など言語対応を進めるようだ。
消費者目線からもEU圏内の別の国から何かを買うということは普通に行うようだ。
特に女性は化粧品関係はフランスのブランドサイトから直接買うという。
まとめ
ビジネスはすごく始めやすい
優秀な人もいてコストも高くはない。基本即戦力なので教育コストや時間が不要。
EC領域ではサービスが揃っており今と同じ座組で始められる。一方でアジア領域のビジネスはまだ入りこんできておらずチャンスが多い。
良くも悪くも大きな経済圏
しかし、アジアを本格的に視野に入れている企業は驚くほど少なかった。
というかアメリカすらあまり見ていなかった。自国の他にもEC圏内に先進国がいくつもあり欧州外まで目が行っていない印象を受けた。
少なくともメーカーは中国を中心とした巨大なアジア市場に興味をもっていたのと、欧州内の人口減少や経済鈍化を懸念していたが、優先順位をどうするかは我々次第と感じた。
これから感をとても感じる雰囲気
テック系のスタートアップが増えたのが2010年以降、海外からもベルリンドリームを求めて移住してくる人が増えたのはここ5年くらいらしい。
なので本当にここからはじまるのだなという雰囲気を感じた。
シリコンバレーで始まったスタートアップのエコシステムがヨーロッパでも定着し、動き出しているのだということを感じた。
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スターフィールド編集部
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