【書評】BtoBマーケティング&セールス大全
はじめに
社内制度のOKRを活用して、インサイドセールスのフロー構築に役に立ちそうな書籍を5冊購入してもらいました。そのアウトプットとして書評を行っていきます。
今回ご紹介するのは、「BtoBマーケティング&セールス大全」です。この本を選定した主な理由は、インサイドセールスの概要以外のB2Bマーケティングについて学びたかったためです。
内容
本書の流れ
本書は、以下の6章に分かれています。
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第1章 BtoBマーケティングの現状
第2章 「BtoBマーケティング&セールス」という視点
第3章 BtoBマーケティング&セールス 買プロセスにおける10のフェーズ
第4章 BtoBマーケティング&セールスの6つのステップ
第5章 BtoBマーケティング&セールス 媒体別の特長とステップごとの施策
第6章 BtoBマーケティング&セールスの具体例
第1章 BtoBマーケティングの現状
第1章では、なぜマーケティングが重要になっている背景、BtoC取引との特徴の比較などが説明されています。
BtoBマーケティングの課題として挙げられていた「個人の力量に頼るBtoB取引の限界」は、特に刺さるものがありました。「『マーケティングと営業を売上に繋げる一本の道」と考え、組織的に取り組む必要がある。』という部分に全てが凝縮されています。
第2章 「BtoBマーケティング&セールス」という視点
第2章は、受注までの3ステップ(集める→育てる→刈り取る)、BtoBマーケティング&セールスの目的についての説明です。
リードをナーチャリングする必要があるということ、その為の仕組みを作る役割なのがマーケティングというような流れです。従来は、集めたリードをそのまま営業担当にパスしていたためアプローチが不十分になっていました。そこで、「育てる」という段階を付けることで、マーケティングと営業をスムーズにつなげることが出来るようになります。ナーチャリングの対象は、購買のニーズが明らかになっていない状態から育てるので、どうしても時間が掛かってしまうということを関係者は理解していないといけません。
第3章 BtoBマーケティング&セールス 購買プロセスにおける10のフェーズ
第3章では、購買のプロセスを10のフェーズに分解して解説しています。
フェーズ1 課題が潜在的・未認識
フェーズ2 担当者レベルでの課題の顕在化
フェーズ3 関係部門間での課題の共有
フェーズ4 解決策の明確化
フェーズ5 商品・サービス情報収集の本格化
フェーズ6 絞り込み・比較・検討
フェーズ7 商品・サービスの詳細・価格情報の収集
フェーズ8 社内検証
フェーズ9 購入先の内定
フェーズ10 決裁・承認
最近情報交換や打ち合わせを行った企業様はフェーズ2の状態が多いような気がします。次のフェーズを理解して商談に取り組むことの重要性を深く認識しました。真の課題が明確ではない担当者に合わせた説明ではなく、先方のフェーズを進められるような打ち合わせが出来るように方法を探っています。
第4章 BtoBマーケティング&セールスの6つのステップ
第4章では、第3章とは逆の視点で買い手の状態を6つのステップで分類し、ステップを上げさせるために=ナーチャリングをするためにはコンテンツが重要であると紹介しています。
いわゆる新規顧客、見込み顧客、既存顧客を細かく6つに分解することで、それぞれに適切なフォローの仕方を解説しています。そのフォローで役に立つのが、コンテンツ(ブログ)です。顧客の段階に合わせたコンテンツでアプローチすることがナーチャリングにつながります。
STEP1 非見込み客(未認知客)
STEP2 コールドリード
STEP3 育成リード
STEP4 ホットリード
STEP5 商談客
STEP6 既存顧客
第5章 BtoBマーケティング&セールス 媒体別の特長とステップごとの施策
第5章では、コンテンツの種類別にどのような活用方法が説明されています。DM、パンフレットのようなアナログ媒体からオウンドメディアやセミナーなどのデジタル媒体まで網羅的に展開されているので、抜け漏れ確認にも使えます。
自社サイト(オウンドメディア)
Web広告(ペイドメディア)
SNS広告(アーンドメディア)
プレスリリース
展示会・イベント
ダイレクトマーケティング
マス広告
交通広告
紙媒体
メールマガジン
セミナー
相談会(個別セミナー)
営業ツール
勉強会・説明会
現在の情勢では、実現が難しいものも多く存在しますが、どういう使い分けが今までされていたのかを知るにはいい資料になっています。
第6章 BtoBマーケティング&セールスの具体例
最後は、事例紹介です。セキュリティソフト会社、教育系協会、印刷関連会社の事例が詳細に記載されています。
3つの事例に共通しているのは、非見込み顧客にアプローチをかけ育成しつつ、顧客ニーズのくみ取りを行っていく事です。業界によって手法は異なりますが、本質的な構造は同じになっています。
活用
本書で学んだ内容としては、セミナーなどのコンテンツもリードナーチャリングに役に立つということです。言われてみれば当たり前の内容だと思うのですが、事象を結び付ける能力が弱いので良い発見になりました。
狭義のインサイドセールスにこだわるのではなく、セミナーやコンテンツもインサイドセールスに役に立っていると理解し、全てを連動させることで大きな効果を生み出そうと現在構築中です。
商談で吸い上げた見込み顧客のニーズをセミナーの内容に反映し、そのセミナーをきっかけにナーチャリング対象の顧客に連絡して育成する流れは実践中です。
まとめ
前回ご紹介した「インサイドセールス スペシャリスト教本」は、インサイドセールスの全体像の理解が主目的でしたが、本書はナーチャリングの具体的な内容の紹介がメインでした。OKRではインサイドセールスの構築を目標に掲げていましたが、もちろんそれ以外の担当もあります。本書で学んだ内容は、広義のインサイドセールスの構築に役立てていきたいです。
Author Profile
スターフィールド編集部
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