保税区をつかった政府系越境ECビジネス「正規軍」ってなに?
現状
そもそも、中国国内にモノを入れるときは、「貨物」と「物品」の区分があります。
貨物
・貿易としての扱い
・関税、消費税、増値税の3種類の税金が課される
(ものにもよりますが総額50%以上!)
・商品検査、植物検査、衛生検査がある
・BtoB
物品
・郵便物や手荷物の扱い
・行郵税のみ課される
(安い。しかも50元以下なら免税)
・人不足、システム不備のため実際ほとんど検査されず
・BtoC
このいびつな構造のために、税込み価格で比べた場合、「貨物」として輸入した商品と、「物品」として郵送された商品には大きな価格差が生じます。
そのため、現状のところBtoCで中国に売られる商品は、EMSなどを使って「物品」として中国国内にむけて入っていくことになります。
中国政府の待った!保税区を活用した政府主導の越境EC
中国政府はこの現状を改善すべく、保税区という経済特区を利用した政府主導の越境ECを推し進めています。
これは、売買が成立したあとに海外から商品を発送するのではなくあらかじめ保税倉庫に保管している商品を売買するというものです。
ネットで販売するのは今と同じですが、その売買が成立した瞬間、商品はもう中国にあるってことです。
そして特区内の倉庫をでるときに、はじめて税金がかかります。
これの良いところは、
①倉庫に入る時点で政府チェックがあるので、品質が保証されている
②注文後に海外から配送するEMSに比べ、すぐに購買者に届く
③返品への対応などもできる
です。
以上の3つは、中国の消費者にとってのメリットですが、もちろんそれだけのために中国政府が動いているわけではありません。
中国政府としては、越境ECの賞品と物流を管理することで、税金をあまさず徴収することが本来の目的でしょう。
今後、保税区モデルをさらに浸透させ、越境ECの「正規軍」として他を駆逐するために、EMSに対する締め付けが厳しくなる恐れがあります。
福岡市上海出張所の方のレポートをものすごく参考にしました。
ありがとうございます。
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Author Profile
HASHIMOTOHIROKI
1984年香川県生まれ。 早稲田大学第一文学部哲学専修卒。 三味線奏者、豆腐屋、八百屋を経て、現在はスターフィールド株式会社で、あらゆる日本企業を世界進出させるべく越境ECの普及に力を注ぐ。 特に中国、台湾向けECカート導入がメイン業務。
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