2025/02/14
台湾におけるECとコンビニ受取モデルの競争と変革
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はじめに
近年、台湾のEC市場は急速に成長しており、コンビニ受取が主要な物流手段として定着しております。しかし、Shopee(蝦皮)をはじめとするECプラットフォームは「店舗間配送(店到店)」サービスを導入し、コンビニ依存度を低減させつつあります。一方で、FamilyMart(全家)などのコンビニ事業者は競争力を維持するため、越境ECの受取サービスを積極的に拡充しており、EC事業者とコンビニ事業者の間で新たな競争が展開されております。
ECによる自社物流——Shopeeの「店舗間配送(店到店)」
台湾Shopeeは2021年より「店舗間配送(店到店)」を開始し、2024年にはその拠点数が1,600店舗に達しました。このサービスにより、従来のコンビニ受取への依存を軽減し、物流の管理体制を強化するとともに、顧客のブランドロイヤルティ向上を図っております。
このような取り組みは、従来コンビニが担ってきた受取業務に影響を及ぼし、コンビニ事業者に対して新たなビジネスモデルの確立を迫る要因となっております。
コンビニ事業者の対抗戦略——FamilyMartの越境EC受取サービス
こうしたECプラットフォーム側の動きに対し、コンビニ事業者も新たな戦略を展開しております。特にFamilyMartは、4,200店舗に及ぶ広範なネットワークを活かし、韓国のCoupangや日本のBibian(比比昂)といった越境ECプラットフォームとの提携を強化しております。
これにより、消費者は専用アプリを通じて注文し、最短5日でコンビニ受取が可能となりました。さらに、1元からの割引や送料無料キャンペーンなどの施策を打ち出すことで、海外ECを利用する消費者層の獲得に成功しております。
今後の展望
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ECプラットフォームによる自社物流のさらなる拡大: 今後、Shopeeのモデルを参考に、自社物流網を構築するEC事業者が増加することが予想されます。
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コンビニの多角化経営とECプラットフォーム化: コンビニは単なる物流拠点としての役割を超え、ECと連携した購買プラットフォームへ進化する可能性があります。例えば、FamilyMartは専用アプリを活用し、日本製品の直販事業を展開し始めております。
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越境EC市場の成長と物流の高度化: 越境ECの成長に伴い、物流の迅速化および受取の利便性が市場競争の重要な要素となることが考えられます。
まとめ
台湾におけるEC物流は、従来のコンビニ受取依存型モデルから、EC事業者による自社物流の構築や、越境ECとの提携へと変化しつつあります。Shopeeは物流の統制を強化することで競争力を高め、FamilyMartは越境ECの受取サービスを拡充し、海外購買層の獲得に注力しております。
この競争の激化は、消費者の購買行動の変化を促すだけでなく、物流モデルの革新を加速させる要因となっております。今後、より多様化・高度化した物流システムが求められ、EC市場とコンビニ市場の関係性にもさらなる変革が生じることが予想されます。
参考リンク: https://www.bnext.com.tw/article/81744/taiwan-e-commerce-
https://www.limedia.tw/fea/51111/
https://www.sanjinoir.com/2024/06/17/bibian-familymart-app-20240617/
Author Profile
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YOSHIKA
Global EC Operation部
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