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説明は速さで決まる?

説明は速さで決まる?

はじめに

説明をするときに長々と話してしまったり、言いたいことを上手く伝えられなくて、もどかしい思いをした経験はないでしょうか。社会人になれば社内の説明に加えてクライアントやパートナー企業とのコミュニケーションが不可避となってきます。説明の苦手意識から卒業して上手く話ができるようになりたい気持ちに応えられる本を見つけたので、ご紹介します。 今回取り上げる本は、「中村圭. 説明は速さで決まる 一瞬で理解される「伝え方」の技術. きずな出版. 2019」です。同書の筆者はコピーライターとして活躍していて、コピーライターの技術を説明の時にも使えるようにかみ砕いています。

なぜ説明を上手くできないのか

序章で説明されているのは、情報量が格段に増えている時代に、説明のルールが変わってきていること自体に気づいていないためとしています。これまでは、「長い説明は丁寧である」と好意的に受け取られることもありました。

打ち合わせでは、自分の持てる知識を出し切り、みんなが納得するまで説明する

だれにも失礼のないように配慮されたメールを送る

冷たく伝わらないように、話が長くなっても構わない

このような認識が根底にあり、長く説明できる人が評価される時代が尾を引いているからです。現代は長時間の打ち合わせや会議が生産性を下げることの代名詞になっていて、会議も説明と同様に短いほどいいという価値観が強くなってきています。したがって、長々としゃべっている人が嫌われてしまい、相手の時間を思いやっていないと捉えられてしまうために、説明が上手くできていないと認識されてしまう時代になってきたことが一つの原因となっています。

説明や話が長くなってしまうのは、目的地に向かってとりあえず走りだしてしまい、目的地までの道のりが全然見えていないので、何度も同じ道を通ったり、通らなくてもいい道を通ったりして、なかなか目的地に辿り着けないことも説明が上手くできない原因です。

説明を上手くするためには

「相手は聞いてくれる」という前提を捨てる

脳に負担がかかりそうな情報を現代人は受け入れないために、自分に関係ないと思った情報は即座に遮断する癖ができています。一方で、現代の人は「自分向けに」カスタマイズされたものを受け取ることが多くなっているというチャンスが眠っています。

速い説明に向いている人は

ずばり口ベタな人としています。口ベタな人は頭の中で考えすぎて、スムーズに言葉に出せない人と見なされてしまうことがあります。頭の中で自分の考えを煮詰めることができる傾向にある口ベタな人は、実はきちんと説明のテクニックを身につければ、早い説明が求められる時代に大きく飛躍できる可能性を秘めているとされています。 大事なのは、説明のテクニックをいくら学んでも、考えが浅ければ、あまり意味がない。考えを煮詰めることが必要なのであると。

速い説明のために必要な訓練

  • まずはすべての要素を書き出して可視化し、自分の書いた文章を見直していくトレーニングを行う

自分の説明の中にどれほど無駄があるのかを把握するために、書くことから始める。書いたものからとことん無駄を排除して説明を短くしていくというステップを踏みます。文章なら書いた時点で問題が目に見えてわかりますが、話していることを振り返るのは難しいためです。 言葉は頭の中から外に出さないと善し悪しを判断できにくく、説明するために必要な要素を全部書き出してから、説明に「いる」「いらない」情報を冷静に判断して、必要なものだけを使うようにしていきます。

  • ターゲット思考で言葉を使う

自分には関係ないと思われた瞬間、情報は遮断されてしまいます。一方で、自分に関係ある情報であると思われれば、説明を理解しようとしてもらえます。説明する相手(ターゲット)がイメージできるような言葉を選ぶ努力をして、相手と同じ言葉を使うようにします。例えば相手がある分野のプロであれば、その道の専門用語を使って話すことです。心理学では、自分と同じ仕草をする人に親近感を覚えることをミラー効果といわれていて、文章や説明でも同じことが言えるのです。

本を読んで感じたこと

説明をすることが多い人も、説明を聞くことが多い人も、内容にうなずける部分があったのではないでしょうか。私は営業職という特性から、どうしても説明する機会が多くあります。今も上手く説明するためにはどうしたらいいのか、毎日反省する日々を送っています。そんな時、たまたま会社の書棚に置いてあったこの本を手に取り、読書を楽しむことができました。相手に理解されやすい説明、相手が聞いていて疲れない説明、自分も疲れずに説明できる力をつけていく上で、指南書となりました。本のタイトル、「説明は速さで決まる」と書いてある通り、本書もダラダラと書かれておらず読みやすいものでした。是非手に取って自分の目と心で読んでみていただきたい一冊です。

Author Profile

著者近影

MAKOTO TAJIRI

-越境ECコンサルタント- 貿易・国際物流分野において、営業・新規ビジネス開発・貿易実務に従事。 国際物流企業→総合コンサルティングファームを経てスターフィールド入社。 日本企業の海外輸出相談経験を持つことから、貿易・国際物流・事業構築を得意分野としています。 趣味はスイーツ(食べること専門)、愛犬と散歩、ドライブ。

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