購入者の約9割がSDGsを意識⁉シンガポールの買い物事情
はじめに
以前アジア最大のECモール「Shopee」におけるSDGsの取り組みについて取り上げましたが、今回は国を絞り、シンガポールのSDGsについて紹介します。
世界一のスマートシティー、アジア随一のエコ先進国などと言われるシンガポールですが、購買活動に対してどのような意識を持っているのでしょうか?
価格割増でもSDGs商品を選ぶ!
まずはシンガポールの買い物客が消費活動においてどれほど環境に配慮しているか、数字で見てみましょう。
「Unpacking Asia-Pacific Consumers’ New Love Affair with Sustainability(※)」という調査によると、なんと約85%の消費者が環境に優しい製品を購入するために、より多くの金額を支払う意向を示したといいます。そして全体の約3割が将来的には、より持続可能な製品を購入するためにもっとお金を使うだろうと回答したそうです。また、買い物客のほぼ半数が、過去2年間で持続可能な商品を購入していることもわかりました。
購入の基準として、消費者の約半数が「健康上のメリット」を上位に挙げている一方で、10%は製品を購入する際に「環境および社会的利益」を求めて購入するということも明らかになりました。
2021年、シンガポール政府は2030年までに達成すべき「グリーンプラン(環境目標)」を発表するなど、世界的に見ても高水準のコミットメントを果たしています。その方針は市民にも共有されているのか、積極的に持続可能な社会の実現に向けて持続可能性への取り組みを実施する際、誰がその取り組みを主導するべきかという問いに対しては、35%の人は政府が持続可能性への取り組みを主導しなければならないとしています。しかしその一方で、買い物客の27%は、ブランドが気候危機に対する対策の実施を主導する必要があると回答しており、購買活動において企業責任を重視する人の多さも伺えます。
※2022年1月に、シンガポール、オーストラリア、日本、韓国、タイ、マレーシア、ベトナム、中国、インド、インドネシア、フィリピンの 16,824 人の消費者を対象に行われた調査
約6割が再利用不可製品を懸念
(ECだけでなく購買活動全体においてですが、)シンガポール市民の約6割は買い物する際に、その製品がリサイクルできるかどうかを気にしているという結果も出ています。
なお、この懸念はシンガポールに限らず、世界中の回答者の57.8% もリサイクルできない製品を最大の懸念事項として挙げています。
また、2番目の懸念事項としては、製品を生産するための天然資源の枯渇が挙げられています(シンガポール:59.1%、 世界:56.7%)。目の前にある製品だけでなく、素材やそれが生まれるまでの行程においての環境負荷も考える傾向があると言えます。
さらに見ていくと、個人が行うサスティナブルな行動としてトップに上がったのは「新しいものを買うのを控える(65%)」、2位が「中古品を買ったり売ったりする(32%)」です。
つまり、新製品の購入に対してのハードルが上がり、中古品のニーズが高まっているわけです。そしてその製品やメーカーのSDGsへの取り組みが、前者のハードルを越えるための強みとなりうるでしょう。
まとめ
飲食店やレジャー・ホテル、食品生産・加工、交通といった様々な企業や組織が、政府の方針の下、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいるシンガポール。SDGsだけでなく、ESGの関心度の高さも世界のトップレベルだそうです。
シンガポール向けのECを展開するのであれば、この視点でのモノづくりやプロモーションは避けて通れないと言えるでしょう。
逆にいえば、この厳しいシンガポールの購買者に受け入れられるものであれば、他のエコ推進国にも広げやすいかもしれません。
《参考・画像出典》
https://sbr.com.sg/retail/in-focus/nearly-9-in-10-shoppers-are-willing-pay-more-sustainable-products
https://sbr.com.sg/retail/in-focus/here-are-top-sustainable-shopping-practices-observed-singaporeans
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TOMI
制作ディレクターとか進行管理とかリソース管理してます。 欧米もアジアも好きですが次は南米あたりに住みたい。
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