保冷品の国際宅配便サービス
はじめに
越境EC支援事業を行う中で、スイーツや生鮮品など保冷品の国際宅配便サービスについてご相談いただくことがあります。今回は、冷蔵品・冷凍品に関わらず、保冷品の小包配送についてご紹介します。
保冷品とは?
保冷品は、温度を一定の低温で保ちながら商品や食品を保存・運送するための製品や仕組みのことをいいます。例えば食品の場合、保冷品は食材や冷凍食品を冷たい温度で保存し、腐敗や品質の劣化を防ぐのに役立っています。
海外への保冷輸送手段
ここでいう海外への保冷輸送は、越境ECでの小包の直送モードについて言及します。国際宅配便各社について調べたところ、以下の結果となりました。
唯一保冷輸送が可能なのは、日本郵便が提供するクールEMSでした。発送前の確認と発送準備を以下の手順で進めていく必要があります。
- 希望する取扱い国の有無を調べる
- 取扱い国が該当する場合は配送料金を調べる
- 取扱い郵便局・引き受け可能曜日を確認する
- 発送可能日を確認する
- 事前予約申込書を記載する
- 差出希望日の5日前の正午までに差出郵便局にFAXで申し込みをする
- 申込締切日の翌日までに、郵便局から連絡がある
- 予冷、梱包準備の上発送する
現在クールEMSで配送できるのは、台湾、ベトナム、マレーシア、シンガポールの4か国(2023年8月現在)。香港とタイに関しては引き受け停止中となっています。なお、現在西日本地域ではクールEMSの受託が停止されています。 詳しくはこちらのリンクをご参照ください。 https://www.post.japanpost.jp/int/ems/cool/
保冷設備の整った状態で配送できるのはクールEMSでしたが、国際宅配便事業者によっては、事前に各社へ相談の上で荷物にドライアイスをつめた状態での輸送を受託することが可能な場合があります。この場合、通常要求されることのない以下を満たす必要があります。
・荷物外装へのマーキング
- 荷送人と荷受人の住所・氏名
- DRY ICE UN1845
- ドライアイスの正味量(kg)
・荷物外装へのラベル貼り付け
- クラス9のIATAの危険性ラベルの貼付
・送り状ラベルへの記載
- Dry Ice, UN1845, ドライアイス梱包の数 x ドライアイスの正味重量(kg)
梱包についても炭酸ガスの蓄積を防ぐために、荷物を完全に密閉しないようにする工夫が必要です。なお、危険物申告書は不要です。
ドライアイスを充填して輸送する場合は、上記のような別途準備が必要となることと、輸送料金とは別途手数料がかかること、ドライアイスを充填することで荷物の重量自体が重くなって輸送料金が高くなる点を考慮しなければなりません。
まとめ
国際宅配便による保冷品の輸送手段は限られていることがわかりました。越境ECで販売する商材や商品単価、出荷の負荷を考慮した上で適切な配送手段を選択していきましょう。
Author Profile
MAKOTO TAJIRI
-越境ECコンサルタント- 貿易・国際物流分野において、営業・新規ビジネス開発・貿易実務に従事。 国際物流企業→総合コンサルティングファームを経てスターフィールド入社。 日本企業の海外輸出相談経験を持つことから、貿易・国際物流・事業構築を得意分野としています。 趣味はスイーツ(食べること専門)、愛犬と散歩、ドライブ。
SHARE