2025/10/31
「Agentic Commerce Protocol」とWooCommerceの未来

2025年、Web制作とEC運営の現場は「AI」によって劇的な変化を迎えています。かつてはSFの世界だった「AIが自ら考えて業務を遂行する」未来が、WordPressという最も身近なプラットフォームで現実になろうとしています。
本記事では、WordPressのAI活用の最新トレンドと、それが貴社の「Webサイト制作」や「越境EC」にどのような革命をもたらすのか、2025年10月の最新ニュース(WooCommerceの動向)を交えて徹底解説します。
2025年、WordPress制作現場で「常識」となったAI活用
 ここ1〜2年で、WordPressの制作現場ではAIの活用が急速に進みました。従来は多くの工数がかかっていた作業が、AIプラグインによって自動化・効率化されています。
ここ1〜2年で、WordPressの制作現場ではAIの活用が急速に進みました。従来は多くの工数がかかっていた作業が、AIプラグインによって自動化・効率化されています。
1. コンテンツ・SEO記事制作の自動化
「Jetpack AI Assistant」や、SEOプラグインの「Rank Math AI」「AIOSEO」といった主要なツールがAI機能を標準搭載しました。
ターゲットキーワードを指定するだけで、SEOに最適化された記事のドラフトや、魅力的なタイトル案、メタディスクリプションを瞬時に生成できます。これにより、コンテンツマーケティングの「量」と「質」を担保するハードルが劇的に下がっています。
2. WebデザインのAIアシスト
「Elementor AI」や「Divi AI」といった主要なページビルダーもAIと深く統合されました。
「こういう雰囲気のヒーローイメージを作って」と指示するだけでデザイン案が生成されたり、サイト全体の配色やレイアウトをAIが提案したりすることが可能になり、デザインプロセスそのものも高速化しています。
【時事ネタ】WooCommerceが「Agentic Commerce Protocol」に対応へ
 そして今、このAI化の波が「EC(Eコマース)」、特にWordPressで世界最大のシェアを持つ「WooCommerce」にも到達しました。
そして今、このAI化の波が「EC(Eコマース)」、特にWordPressで世界最大のシェアを持つ「WooCommerce」にも到達しました。
2025年10月、WooCommerceは「Agentic Commerce Protocol(ACP)」への対応を進めていることが報じられました。
ACP(Agentic Commerce Protocol)とは?
ACP(Agentic Commerce Protocol)とは、StripeとOpenAIが共同で開発を推進する「AIエージェントが、ユーザー(消費者)を代理して、ECサイトと直接商取引を行う」ための技術的な標準規格(ルール)です。
(参考: Agentic Commerce Protocol 公式サイト)
この規格が普及すると、消費者がChatGPTのような対話型AIのインターフェース内で、AIと会話するだけで商品の検索から決済までを完結できるようになります(OpenAIはこれを「Instant Checkout」と呼んでいます)。
ECサイトがこの規格に対応することは、AIが主導する未来のコマースにおいて、新しい顧客接点と販売機会を獲得するための重要な一歩と言えるでしょう。
「ACP」が拓く「対話型コマース」の未来とは?
 この規格が普及すると、消費者の商品購入体験は根本から変わります。
この規格が普及すると、消費者の商品購入体験は根本から変わります。
- 従来の購入体験: ユーザーがGoogleで検索し、ECサイト(例:貴社のサイト)にアクセスし、サイト内を回遊し、カートに入れて決済する。
- ACPが拓く未来の体験: ユーザーがChatGPTに「$100以下で、日本から発送してくれる高品質な緑茶を探して」と指示する。
- Protocol(規格)の役割: ChatGPT(AIエージェント)が、この「規格」を使って、対応済みの複数のECサイト(WooCommerceなど)に一斉にアクセスし、条件に合う商品をリアルタイムで比較。
- 購入の完結: AIが「スターフィールド社のこの緑茶が最適です」と提示し、ユーザーが「それでお願い」と答えるだけで、ChatGPTの画面から離れることなく決済(Stripe経由)までが完了します。
ACPは「越境EC」の課題をどう解決するか?
 この「Agentic Commerce Protocol」の仕組みは、言語、決済、時差といった複雑な課題が絡み合う「越境EC」においてこそ、その真価を発揮します。スターフィールド社が強みとする越境ECサポートの現場でも、これは強力な追い風となります。
この「Agentic Commerce Protocol」の仕組みは、言語、決済、時差といった複雑な課題が絡み合う「越境EC」においてこそ、その真価を発揮します。スターフィールド社が強みとする越境ECサポートの現場でも、これは強力な追い風となります。
1. 「言語の壁」の完全な解消
これまで、海外向けホームページを多言語対応させるのは必須の施策でした。 しかしACPに対応すれば、**AIが「最強の通訳」**として仲介します。
海外の消費者が、現地の言語(英語、中国語、マレー語など)でChatGPTに話しかけるだけで、日本語のWooCommerceサイトに登録されている商品情報をAIが理解・翻訳し、提示してくれます。消費者は一切「言語の壁」を意識することなく、日本のサイトからシームレスに商品を購入できるのです。
2. 「決済と配送」のハードル低下
「このサイトは信頼できるか?」「自分の国のクレジットカードは使えるか?」といった決済の不安や、複雑な国際配送手続きの選択は、越境ECでのカゴ落ち(離脱)の最大の原因です。
ACPはStripe(決済)とOpenAI(AI)が主導しています。AIが仲介することで、信頼できる決済プロセス(Stripe)がシームレスに実行されます。ユーザーは、使い慣れたAIとの対話の中で、最適な配送オプションを(AIが推薦する形で)選ぶだけでよくなり、購入のハードルが劇的に下がります。
3. 「AI(ChatGPT)」という新たな販売チャネルの開拓
これからの消費者は、Google検索だけでなく、「AIへの相談」を通じて商品を発見するようになります。
ACPに対応するということは、「ChatGPT」や今後登場するであろう様々なAIアシスタントという、巨大な新しい販売チャネルに、貴社の商品棚を並べることを意味します。この次世代の販売チャネルに対応できるECサイトを構築・運用することが、今後の越境EC戦略において死活問題となるでしょう。
まとめ:AIと共に創る「賢いECサイト」の時代へ
2025年、WordPressは単なるCMSから、AIと協働する「インテリジェントなビジネス基盤」へと進化を遂げようとしています。
WooCommerceの「Agentic Commerce Protocol」への対応は、その象徴的な動きです。 これからのECサイト運営は、「(Google検索だけでなく)AIにいかに自社の商品を発見させ、選んでもらうか」が成功の鍵となります。
しかし、AIがどれだけ進化しても、そのAIに対応できる「規格(ACP)」を正確に**「構築・実装」**し、AIに選ばれるための魅力的な商品戦略(例:Shopeeでの販売戦略)を立てるのは、依然として人間の専門家です。
スターフィールド株式会社は、Shopee支援で培った越境ECの知見と、Next.jsやヘッドレスコマースといったモダンなWeb技術(開発ブログで発信中)を融合させ、お客様のビジネスを次のステージへ導きます。
「自社のECサイトもAI(ChatGPT)での購入に対応させたい」 「最新技術を取り入れた越境ECサイトを構築したい」
そのようなご要望がございましたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。最新のトレンドを踏まえた最適なソリューションをご提案します。
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Author Profile

YUJI MEZAKI(代表取締役副社長)
代表取締役副社長をやっています。 越境ECとWebマーケの営業担当しています。 なんでもカリカリにチューニングして生産性あげるのが好きで勉強したビジネスフレームワークの記事多め。 趣味はPC自作で会社のWindowsデスクトップはほぼ自分が組みました。 1985年生/2008年早大卒/
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