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ワシントン条約とは(概要編)

ワシントン条約とは(概要編)

はじめに

越境ECで海外に販売しようとしていた商品が、ワシントン条約の規制対象にあたり輸出できなかった!なんてことはありませんか? ワシントン条約とは何なのか、ワシントン条約の対象になるものはどのようなものがあるのかをご紹介します。

ワシントン条約(CITES)とは

経済産業省の説明によると、ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約))は、自然のかけがえのない一部をなす野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的とした条約としています。

設立の経緯としては、1972年にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」において、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を図るため、野生動植物の輸出入等に関する条約採択会議の早期開催が勧告されたことがきっかけとなります。 これを受け、アメリカ合衆国の主催により1973年にワシントンにおいて南アフリカ共和国、コスタ・リカ等81か国が参加して「野生動植物の特定の種の国際取引に関する条約採択のための全権会議」が開催され、同年3月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」が採択されました(本条約は、ワシントンにおいて採択されたことから、ワシントン条約と呼ばれています。)。本条約は、1975年4月2日に所定の発効条件を満たし、同年7月1日に効力を生ずることとなりました。

ちなみに日本は上記会議に出席し、1973年4月30日に本条約に署名しましたが、その後国内関係者の調整等を経て、1980年4月25日第91回通常国会において本条約の締結が承認され、1980年11月4日から発効しました。

本条約には、先進国及び発展途上国の多くが加盟しており、2022年3月現在で183ヵ国及び欧州連合(EU)が締約国になっています。

ワシントン条約の対象となるもの

ワシントン条約は、絶滅のおそれのある動植物を保護するものです。生きている動植物以外に、はく製や革製品、化粧品、楽器、漢方薬などの加工品であっても規制対象になります。この規制対象となる動植物は、絶滅のおそれの度合いによって条約の附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに区分されており、以下のように附属書ごとに輸入規制の内容が異なります。

ワシントン条約が規制する動植物かどうかを調べるにあたっては、まず、種の学術名を特定する必要があります。ワシントン条約規制対象種に該当する場合は、その種が附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに掲載されているかを調べます。なお、学術名はラテン語の国際的に共通の名称を調べる必要があります。

(参考) 付属書リストの確認(動物) https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/20231125_appendix_fauna.pdf

付属書リストの確認(植物) https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/230223_revised231125_appendix_flora.pdf

まとめ

今回はワシントン条約の概要についてご紹介しました。越境ECで絶滅の危機にある動植物を販売することはないかと思いますが、加工品なども規制対象となるため注意が必要です。事前のチェックをしっかりと行って、安全な取引をするためにワシントン条約の理解をしていきたいものですね。経済産業省のHPに詳しい情報が掲載されておりますので、是非見てみてください。

Author Profile

著者近影

MAKOTO TAJIRI

-越境ECコンサルタント- 貿易・国際物流分野において、営業・新規ビジネス開発・貿易実務に従事。 国際物流企業→総合コンサルティングファームを経てスターフィールド入社。 日本企業の海外輸出相談経験を持つことから、貿易・国際物流・事業構築を得意分野としています。 趣味はスイーツ(食べること専門)、愛犬と散歩、ドライブ。

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