越境EC物流のEMSとECMSは全く別物です!
はじめに
越境ECを始める際、実は一番最初に物流について考える必要があります。
どんなに良いサイトができて、効果的な広告で集客することができても、商品を実際に送ることができなければECは成り立ちません。
国ごとに法律が異なる越境ECでは、国内ECよりもより厳密に調査、検討をする必要があります。
そんな中、多くの企業様が越境EC物流で利用するのはEMSです。実際に弊社カートを利用するお客様のなかでも、約半数の企業が活用しています。
大変ポピュラーで利用のしやすいEMSですが、デメリットも存在します。
一方で、「ECMSを使いたい(または使っている)!」という企業様も多数います。
名前が酷似しているEMSとECMS。この2つは同じサービスなのか、類似サービスなのか?それとも全く別物?
結論から言うと、この2つは全く別物です。
本記事では、この2つの違いと特徴についてご紹介します。
EMSとは
こちらについてはご存知の方も多いと思いますが、日本郵便が提供する国際郵便サービスの1つです。
書類及び物品用の郵便急送業務であり、かつ、物理的手段による郵便業務のうち最も迅速なものです。日本郵便が提供する海外向けの配送は、他には国際eパケットや、SAL便、船便などがあります。
《参考》サービス比較表
EMSが越境ECでよく使われる理由としては、早く届く、使いやすい(郵便局に持っていくor集荷してもらうだけ)などがありますが、最たる理由としては「通関手続きの優遇」がある点でしょう。もっとはっきり言うと、「税関でスルーされる確率が高く、関税を支払わなくてよい場合が多い」という点です。
EMSは日本ではユニバーサルサービスと位置づけられており、そのため航空機からの荷卸ろし時における優先取扱いや通関・検疫等における一般の貨物とは異なる簡易な取扱いなど、さまざまな優遇措置の適用を受けています。
実質的にEMSの送料だけで海外顧客の家まで直接配送できる手段は大変利便性がよく、越境ECの勃興期から今日まで多くの企業/個人が利用していました。
しかしながら、最近になってその傾向に歯止めがかかっています。
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1.中国でEC法が成立。EMSも税関で止められるようになった
2.コロナの影響で配送に時間がかかるようになった
(2020年6月22日現在クール便はまだ使えない)
3.日本国内でもEMSの優遇を疑問視する声が強くなっている
3については、ヤマト運輸がこのような声明を公開しています。
《参考》国際スピード郵便(EMS)の問題点
つまり、「実際は民間の国際輸送と同じなのに、EMSだけ優遇があってずるいじゃないか」という内容です。
その意見の正当性についてここで議論することは避けます。
ただ、現実的にEMSのあまり良くない点が出てくる中で、それにかわる越境EC物流サービスが民間企業(郵政も民間ですが)から出てきています。
次にご紹介するECMSもその一つです。
ECMSとは
日本発海外向けB2C輸送サービスを行う会社です。
もともとは中国ではじまった会社で、越境EC物流に特化したECMSグループの日本法人です。
サービスの特徴は公式HPを御覧ください。
《参考》ECMS
EMSとの同じところは、「日本の企業様から海外の個人までの配達を行う」というところですが、最たる違いとしては、「各国の越境EC政策や税制に対応した通関及び配送サービスを提供している点」です。
つまり、越境EC通関に対応しておりしっかりと関税を払う仕組みです。
関税逃れはできない代わりに、コンプライアンスを重視する企業にとっては大変便利なサービスです。
また、送料自体はEMSよりも安く設定されており、関税を支払ったとしても、物流費総額を抑えることが出来ます。
実は弊社との共催で、「EMSより安い越境EC物流登場」というセミナーを開催したことがあります。
ここまでで、EMSとECMSは全く異なるものだということがわかるかと思います。
では、なぜ名前がこんなに似ているのか。なぜこんなに紛らわしいのか。
では、なぜこのように名前が似ているのか。
EMSとECMS、それぞれが何の略語かを見てみましょう。
EMSは Express Mail Service の略です。これはなんとなく想像が付きますが、ではECMSはなんの略なのでしょうか。
な、なんとグループビジョンの頭文字を取っていたのでした。
これはちょっとわからない…
難しいです…
実際に私もECMSジャパンの社員の方に「どうしてEMSと名前が似ているのですか?紛らわしくないですか?」と聞いたことがあるのですが、「そうなんですよー!」というお答えでした。
というわけで、名前は似ているけど、全然異なるサービスのEMSとECMSのご紹介でした。
Author Profile
HASHIMOTOHIROKI
1984年香川県生まれ。 早稲田大学第一文学部哲学専修卒。 三味線奏者、豆腐屋、八百屋を経て、現在はスターフィールド株式会社で、あらゆる日本企業を世界進出させるべく越境ECの普及に力を注ぐ。 特に中国、台湾向けECカート導入がメイン業務。
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