中国向けの一般貿易と
保税区越境ECの違いとは?
はじめに
アジア最大の市場、中国で商品を販売する際、「一般貿易」と「保全区越境EC」の2つのパターンがあります。これらは違いが分かりづらく、よく混同されます。今回は、中国向けの一般貿易と、保税区越境ECの違いをまとめてました。
※本記事における越境ECは保税区のモデルとなります。
税金
2つの違いとしてまず税金が挙げられます。もちろん、税金と言っても様々あるのでここでは3つに分類しました。
関税
一般貿易において関税の税率は商品によって異なります。例を挙げると、炒ったコーヒーは基本20%、化粧のパウダーは基本5.8%、サプリメントは基本25%などモノによって異なる税率がかかっています。保全区越境ECは商品に関わらず、関税はかかりません。
増値税
増値税とは、日本の消費税に相当する付加価値税で、中国税収のおよそ4割を占めています。課税対象はモノやサービスの取引です。一般貿易では5~17%かかります。保全区越境ECの場合では一般貿易の70%が増値税としてかかってきます。
消費税
消費税についても一般貿易と保全区越境ECで異なってきます。一般貿易の場合、タバコやお酒・アルコール、宝石やアクセサリーなど贅沢品に指定されているものが課税対象となります。
税率は4段階に分かれており、標準税率は17%で品目や特定の条件によって11%、6%、3%と分類されていきます。具体的な規定は以下の表の通りです。
中国の増値税規定まとめ
税率 | 品目 |
17% | 物品の販売、輸入や有形資産リース |
11% | その他特定品目の販売、輸入や交通運輸・郵便・基礎電信・建築などの役務、不動産譲渡など |
6% | その他の金融サービスや現代サービスなどの役務 |
3% | 小規模納税人(売上高など、一定の規模に達しない納税者) |
直送モデルの越境ECについては増値税同様、一般貿易税率の70%と定められています。
《参考》中国マーケティング情報サイト, Jetro
購入金額による制限
ここでいう購入金額とは、課税免減の金額枠を指します。一般貿易では、購入金額による制限は設けられていません。一方で、保全区越境ECには制限がかかってしまいます。
1回の取引金額5,000元以内かつ、個人の年間取引金額合計が2万6,000元以内でなければなりません。もし、ここで制限金額枠を超えてしまうと一般貿易と同じ税率が適用されます。
通関&輸入規制
一般貿易では、輸入ライセンスを持った企業が輸入通関をしたのち、商品を中国国内に流通させていく事になります。ライセンスを持っていない場合、通関が出来ないので、輸入規制は厳しいと言えるでしょう。
保全区越境ECでは、外国貨物の状態で保税倉庫に保管しておき、購入時に一般消費者の個人名義で輸入通関します。個人名義での通関となるので個人輸入品と同様の扱いになります。よって、輸入規制は緩やかだと考えられます。
まとめ
中国向けの一般貿易と保全区越境ECの違いについて、3つのポイントからまとめました。
まとめると以下のようになります。ぜひ参考にしてみてください。
一般貿易 | 保全区越境EC | |
税金 |
関税税率は商品により異なる 増値税:5~7% 消費税:特定の贅沢品のみ課税 |
関税:無し 増値税:一般貿易税率の70% 消費税:一般貿易税率の70% |
購入金額の制限 | 無し | 有り |
通関 | 輸入ライセンスが必要 | 消費者の個人名義 |
輸入規制 | 厳しい | 緩やか |
《出典》Make Corporation
※保税区モデルではなく、直送モデルの場合は以上3点の他、行郵税が品目により15%、30%、60%の3段階で課税されます。
※本記事の情報は執筆時点のものであり今後変更となる可能性があります。あくまで参考として捉えていただき、正確な情報は越境EC物流の専門家にご相談ください。
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スターフィールド編集部
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