STERFIELD

ファッションの過剰在庫を減らすプラットフォーム「Smatch」

ファッションの過剰在庫を減らすプラットフォーム「Smatch」

はじめに

世界的に問題になっているファッション業界が与える環境負荷の高さは依然として解決の見通しが立っていません。今も多くの商品が、購入者の手に渡ることなく、廃棄されたり、倉庫で眠ったままになっています。今回は、そのような在庫を減らすために生まれたプラットフォーム「Smatch」を紹介します。

過剰在庫の与える影響

世界的にECにおけるリサイクル(ユーズド)市場が拡大しているというニュースをよく見かけるようになってきました。環境意識や価格の安さから積極的に中古品を買う購入者も増えてきています。

その一方で、やはり一度人の手に渡ったものを好まないという人も一定数いますし、中古品との出会いは一期一会であり、買い逃しの可能性もあり、また必ずしも気に入るものが見つかるわけでもありません。

購入者に機会損失を与え続けると、売上としても、ブランドイメージとしてもマイナスです。そうなると、メーカー側としてはたくさんの在庫を抱えておくという判断をせざるをえません。

しかしその結果として、過剰在庫は大きな経済損失を招いてしまっています。2020年における世界全体の年間負担は、3兆ユーロにも上るというデータもあるようです。また、環境にも重大な影響を与えています。毎年生産されるアパレル商品のうち約25%は、一度も着用されることがないというのです。そしてこれが海洋でのマイクロプラスチック汚染のおよそ7%を引き起こしている計算になります。

過剰在庫を商流に戻すプラットフォーム「Smatch」

2022年にドイツで生まれた「Smatch」は、この問題に取り組むために生まれたBtoBプラットフォームです。

毎年、ヨーロッパだけで580万トンの繊維製品が廃棄されており、Smatchは、この分野に大きなプラスの影響を与えたいという理念のもと立ち上げられました。 「私たちはブランドと小売業者のニーズに応え、各商品が理想的な顧客を見つけ、収益性とブランド価値の両方を最大化することを約束する」とSmatchの共同創業者であるMax Groberg博士は述べています。

Smatchでは、ブランドやメーカー、小売店は売り手として余剰在庫の商品情報に加え、どのような相手に売りたいか、対応地域や販売チャネルはどうするかといったことを選択することができます。オークション形式で販売価格を決めることもできるため、できるだけ利益を確保しながら負債となっている在庫を減らすことができるというのが大きな利点です。

また買い手側は、新しい取引先を開設できるとともに、 AdidasやNikeといった有名ブランドの新品の正規品を通常より安く仕入れることができるようになります。手数料は売り手側負担となるため、取引を開始しやすいのもメリットの一つです。

同社はプラットフォーム立ち上げ以来、すでに数億ユーロに相当する額の取引を処理したと伝えています。

まとめ

これまでいくつか紹介してきたとおり、環境保全やSDGsといった考え方のもと、様々なサービスが立ち上がっています。こういった取り組みがビジネスとして成り立ち、環境や経済に良い影響を長く与え続けていくことが望まれます。

参考: https://www.smatch.com/ https://ecommercenews.eu/smatch-launches-platform-to-tackle-overstock/ https://www.smatch.com/

Author Profile

著者近影

TOMI

制作ディレクターとか進行管理とかリソース管理してます。 欧米もアジアも好きですが次は南米あたりに住みたい。

SHARE

合わせて読みたい