STERFIELD

台湾Shopeeの現場から見る、プラットフォーム支配とセラーの生存戦略

台湾Shopeeの現場から見る、プラットフォーム支配とセラーの生存戦略

はじめに

2025年から2026年にかけて、台湾のEC市場をリードしてきた「Shopee」は、大きな変化の時期に入っています。高いシェアを持っている一方で、「手数料の上昇により不安」や「配送ルールの厳格化」、「中国資本背景への懸念」により、台湾現地セラーの離脱と消費者の不信感が加速しています。Shopeeに依存しない方法を探し始めています。 特に、日本から台湾へ越境ECを行う企業にとっては、「台湾では翌日配送が当たり前」になっていることが、新しいハードルが一つ増えています。

1. セラーに厳しくなるShopeeの方針

現在、Shopeeは「成長」よりも「利益」を重視する方向に変わっています。セラーへの条件はとても厳しくなっています。

24時間以内発送のルール

受注後、24時間以内に発送できない場合、2%の追加手数料がかかります。副業セラーや受注生産のセラーには、かなり厳しいルールです。

手数料の増加

送料無料プログラムなどに参加すると、実質の販売コストが売上の20%を超えるケースも珍しくありません。

  1. 2025年より、出荷までに 2日以上を要する商品(プレオーダー) につきましては追加で3%の手数料が発生いたします。

  2. 2025年より、決済およびシステム処理手数料は2%から2.5%へ引き上げられます

  3. 2026年1月1日より、代金・送金および電子発票対応発行サービス費用:請求書1枚あたりの手数料が2元から2.5元へ改定されます。全体的にコストが上がっています。

アカウント凍結・停止のリスク

些細なコミュニケーションミスでアカウントが永久凍結されるなど、セラーは常に不安定な立場に置かれています。

2. 物流スピードを重視するShopeeと手数料高騰の背景

ニュースにより、Shopeeの親会社である Sea Limited は、2025年四半期の決算を発表しました。創業者兼CEOのフォレスト・リー氏が、台湾の「店到店」受取拠点が正式に2,500か所を突破したと説明しました。

台湾市場では店舗受け取り(蝦皮店到店)がShopeeの重要な物流手段になっており、全配送量の70%以上を占めていると強調しました。

物流コストの転嫁?

店舗受け取り(蝦皮店到店)の受取拠点を運営するには多くの家賃や人件費がかかるため、その負担をセラーに回す形で販売手数料が大きく引き上げられました。商品カテゴリーによっては、決済手数料を含めて30%以上になるケースもよくあります。

翌日配送が当たり前に

スマートロッカー(智取櫃)がよく使われています。多くの商品は、注文した翌日に受け取ることができます。「蝦皮店到店・隔日到貨!(翌日配送)」というShopeeのサービスが広まり、台湾の消費者は「商品はすぐ届くもの」と考えるようになりました。

越境セラーへの影響

日本から発送する場合、7〜14日かかる国際配送は、「遅い」と感じられるようになっています。購入率が下がる傾向があります。

3. 「チャイナリスク」と消費者の心理的変化

近年、台湾と中国の関係は大きく変化しています。中国の「一つの中国」原則と台湾の自立志向という根本的な対立構造の中で、政治的緊張の激化と経済的相互依存という相反する要素が絡み合い大きく変化しています。

その影響で、台湾では「中国資本」の企業を避ける動きが徐々に強まっています。Shopeeの親会社である「Sea Limited」の資本背景やデータ管理の不透明さは、台湾現地のニュースによると、すでに経済の問題を超え、「国家安全保障」の議論にまで発展しています。

昨年、台湾政府機関である監察院は「Shopeeには中国資本の関与が疑われる」とする内容の発表を行いました。国の安全や経済に影響する恐れがあるとして調査を開始しました。

國人慣用之蝦皮購物平台疑具中資背景 影響我國資安及經濟主權 監察委員賴振昌及賴鼎銘申請自動調查

蝦皮新規傷賣家及電商業 業者促政府嚴防管制

★主なポイントは以下の通りです

  1. データセキュリティへの不安で、中国資本との関係に対する政治的・社会的な警戒感が高まり、個人情報の流出を懸念する消費者が、他のプラットフォームや自社サイトへ移行しています。

  2. 中国セラーによる「擬似ローカル発送」問題、 台湾・桃園空港周辺の倉庫を拠点に、中国製品を「台湾から発送された商品」のように見せて販売する行為が問題になっています。このような産地や発送元を偽る販売方法は、現在、台湾国内でも重要な課題として認識されています。

この影響で、「越境=不透明」というイメージを避けるため、台湾消費者は 「本当の越境販売の商品なのか?中国からの偽物?」や「信頼できる独自ブランドサイト」 を求める傾向が強まっています。

4. 現地セラーの新しい動き

Shopeeは台湾のネットショッピングに欠かせない存在ですが、最近の変化を受けて、台湾のセラーはShopeeだけに頼らない方法を考え始めています。

自社公式サイト

高い手数料を払う必要がなくなり、特定のプラットフォームに依存しない運営ができます。利益率を守りつつ、顧客データも自社で管理できます。

SNSによる直接集客

Instagram や Threads から LINE公式アカウントへ誘導し、プラットフォームを介さずに、銀行振込やコンビニ物流を使った直接取引へ移行します。

台湾ECプラットフォームの利用拡大

7-11(セブンイレブン)の「賣貨便」や、全家(ファミリーマート)の「好賣+」は、 Shopee よりも出店ルールがやさしいため、小規模なセラーを中心に台湾国内のECプラットフォームを使うセラーが増えています。

まとめ

2026年の台湾EC市場は、「Shopeeに出店していれば自然に売れる」時代ではなくなっています。消費者は「すぐに手元に届くこと(スピード)」「信頼できる販売元から購入したいという安心感」この2つの欲求を同時に求めるようになっています。

今後の越境ECでは、特定のプラットフォームに依存しない複数の販売チャネルの活用と、台湾市場のスピード感に合った物流体制が、今後の越境EC成功の鍵となります。

台湾市場を現地で見てきた経験から、特定の視点に偏らず、市場全体の変化を客観的に把握することが重要だと感じています。

Author Profile

著者近影

YOSHIKA

Global EC Operation部 台湾支店に所属しております。市場を俯瞰した分析力を活かし、EC業界の課題を見極め、価値ある提案につなげることを得意としています。

SHARE

合わせて読みたい