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ぬいぐるみは太る!

ぬいぐるみは太る!

はじめに

皆様、こんにちは。 デスクワーク中心の働き方をする中、「運動不足」や「体重増加」に悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか。実は私も、その一人です。 本日は、私の個人的な「体重増加」にまつわる、あるちょっとした事件と、そこから見えてきた「人を動かすコミュニケーションの心理学」について、少しお話しさせてください。

13kgの増量と、鉄壁の防衛力

お恥ずかしい話ですが、私は妻と付き合い始めてからこの10年で、なんと体重が13kgも増加してしまいました。 いわゆる「幸せ太り」と言えば聞こえはいいですが、年齢を重ねるにつれて体は大きくなるばかり。「このままではマズい、痩せたい」と頭では思いつつも、日々の忙しさや美味しい食事の誘惑に勝てず、なかなかダイエットに踏み切れないでいました。

コツコツと溜め続けたこの”余分な”重りは、驚くほど強靭です。数年前にインフルエンザに罹患し、3日間高熱で何も食べられずに寝込んだ時も、体重計の針は1mmも動きませんでした。さらにその後、新型コロナウイルスに感染した際も、高熱とご飯を食べられない3日間を過ごしたものの、体重変化はまさかの「ゼロ」。 私の身体は、どんなウイルスの脅威にも揺るがない、鉄壁の防衛力を築き上げていたのです(体重という点においてのみ)。

「ぬいぐるみは太る!」事件

実は、私の体重増加と「ぬいぐるみ」には、浅からぬ因縁があります。 体重が「徐々に増え始め、そろそろ痩せなきゃな…」と危機感を抱き始めていた頃の話です。 当時、私はUFOキャッチャーにハマっていました。ぬいぐるみが純粋に可愛いというのもありましたが、何よりあの「ゲットする瞬間の興奮と達成感」がたまらなかったのです。加えて、当時はペット不可のマンションに住んでいたこともあり、無意識のうちに温もりや癒やしを求めていたのかもしれません。気づけば、我が家には数え切れないほどのぬいぐるみが溢れかえっていました。 そんなある日、夫婦でテレビを見ていると、画面から信じられない言葉が飛び込んできました。

「ぬいぐるみは太る!」

部屋にぬいぐるみを置いておくと、太ってしまうと。まさに青天の霹靂でした。 「ぬいぐるみと肥満」などという、想像もつかない角度からの強烈なメッセージ。 しかし、実際に体重が増加傾向にあった私にとって、その言葉は圧倒的な説得力で心に深く突き刺さりました。

「このままでは、ぬいぐるみに埋もれてますます太ってしまう…!」 「ぬいぐるみよりも丸々としてしまうかも…!」

と危機感を募らせた私と妻は、あれだけ一生懸命集めてきたぬいぐるみを、「捨てる」という決断を下しました。それ以来、ピタリとUFOキャッチャーをやめ、我が家からぬいぐるみの姿は完全に消え去りました。

……しかし、皆様のご想像通り、ぬいぐるみがいなくなっても、私の体重は落ちることもなく、順調に右肩上がりです。

禁断の封印を解いた、突然の「野菜」

そんな「ぬいぐるみ全捨て事件」から月日が流れたある日のこと。 妻が突然プレゼントをくれました。 包みを開けてみると、そこに入っていたのは……。

「アボカド」をモチーフにしたぬいぐるみと、「ネギ」をモチーフにした、なんとも言えないシュールで可愛いぬいぐるみ。

手触りの良いアボカドと、つぶらな瞳がついたネギ。 もちろん可愛い。可愛いのですが、私の頭の中は???でいっぱいになりました。 90192B05-41CF-4C30-8549-AA0CD36E1D03_1_105_c.jpeg 4FE884D9-6D6B-403E-800C-5A6EBF05CE27_1_105_c.jpeg 「『太るから』と全て捨てたぬいぐるみを、なぜ今になってプレゼントしてきたのか?」 「しかも、数あるモチーフの中で、なぜわざわざ『野菜』なのか?」

過去の事件を共に経験している妻が、あえて「禁断のアイテム」のぬいぐるみを贈ってきた意図。 この「深読み」について心理学的に分析してみたところ、単なるプレゼント以上の「深いコミュニケーションの設計」が隠されている可能性が見えてきました。

行動経済学の魔法「ナッジ」と「意味の上書き」

「私に痩せてほしい」というメッセージを込めていたのだとすれば、妻は無意識のうちに行動経済学と心理学の手法を駆使していることになります。

1. 心理的リアクタンスを回避する「ナッジ(Nudge)」

人間は、「痩せなさい」「野菜を食べなさい」と頭ごなしに指示されると、無意識に反発したくなる生き物です(心理的リアクタンス)。 そこで妻が用いたのが、行動経済学における「ナッジ(Nudge)理論」です。強制するのではなく、環境を少し変えることで自然と望ましい行動を促す手法です。 「太ったね」と指摘する代わりに、生活空間に「野菜」をそっと置くことで、心理的な反発を抱かせることなく、私に健康を意識させようとしたのかもしれません。

2. 過去のジンクスの「再定義(リフレーミング)」

そして何より興味深いのが、「ぬいぐるみ=太る」という我が家の過去のジンクスに対するアプローチです。 普通なら避けるべきアイテムですが、あえて「野菜(=健康・ダイエットの象徴)」というモチーフにすることで、過去のネガティブなジンクスをポジティブな意味へ「上書き(再定義)」しようとしたのではないでしょうか。 「ただのぬいぐるみは太るかもしれないけど、野菜のぬいぐるみなら痩せる気がしない?」という、ユーモアと励ましのメッセージが隠されているように感じます。

3. 無意識の行動を変える「プライミング効果」

日常空間に野菜のモチーフがあることで、私の脳内には常に「野菜」という概念が呼び起こされます(プライミング効果)。 その結果、コンビニでお弁当を買う時や外食のメニュー選びで、「あ、今日はサラダを追加しようかな」と、自然と健康的な選択をするように仕向けられているのだとすれば、妻の戦略に転がされていると言わざるを得ません。 Eye catch野菜のぬいぐるみ.png

ぬいぐるみに込められた願いと「北風と太陽」

では、なぜ「ネギ」と「アボカド」だったのでしょうか。

日本において、ネギは古くから「風邪予防」など健康と直結する薬味です。 インフルエンザやコロナウィルスに罹患しても体重が変わらなかった私を見て、「ウイルスの脅威から身を守り、とにかく健康でいてほしい」という願いが込められているのかもしれません。

一方のアボカドは、「森のバター」とも呼ばれる栄養価が高い果実です。 この2つの組み合わせは、「病気にならないでね」という守りの願いと、「健康的な体を取り戻してね」という攻めの願いのハイブリッドといえそうです。

これは、ビジネスにおけるチームマネジメントや、同僚とのコミュニケーションにも全く同じことが言えるのではないか、とハッとさせられました。 相手の改善点を指摘したい時、つい「北風」のように正論を振りかざし、直接的な言葉で相手を変えようとしてしまいます。 しかし、相手の心を温め、自発的な行動を促す「太陽」のようなアプローチもあるのです。 「痩せろ!」とプレッシャーをかけるのではなく、夫婦の思い出(UFOキャッチャー事件)を逆手にとり、ユーモアと愛情を交えた「可愛い野菜のぬいぐるみ」という太陽の光で照らす。相手へのリスペクトと愛情をベースにした「柔らかいアプローチ」こそが、結果的に人の心に深く届くのかもしれません。

おわりに:メタコミュニケーションのすすめ

このプレゼントの根底にあるのは、一体何だったのか。 ただ、ずっと一人で「これは高度な心理戦か……?」とモヤモヤしているのも精神衛生上よくありません。心理学では、こうしたすれ違いを防ぐために「メタコミュニケーション(コミュニケーションそのものについて対話すること)」が推奨されています。

あのアボカドとネギを抱えながら、勇気を出して妻にこう聞いてみようと思います。 「このぬいぐるみ、すごく可愛いね。でも我が家では『ぬいぐるみは太る』って認識じゃなかったっけ? もしかしてこれ、『野菜を食べて痩せなさい』っていうメッセージだったりする?(笑)」 妻が「え?ただ可愛かったから買っただけだけど?」と笑うのか、それとも「やっと気づいた?今日からサラダ大盛りね」と微笑むのか。どちらに転んでも、そこには良いコミュニケーションが生まれることを期待しています。 皆様も、身近な人からのちょっとした行動や、ユーモアあふれるアプローチに隠された「メッセージ」に、ぜひ思いを巡らせてみてください。そして、心身ともに健康第一で日々の業務に取り組んでいきましょう。 とりあえず私は、今日のランチに「ネギトロ丼(ネギ多め)」と「アボカドサラダ」を食べて、余分に貯蓄した13kgの強靭な鎧と戦いたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Author Profile

著者近影

MAKOTO TAJIRI

-越境ECコンサルタント- 貿易・国際物流分野において、営業・新規ビジネス開発・貿易実務に従事。 国際物流企業→総合コンサルティングファームを経てスターフィールド入社。 日本企業の海外輸出相談経験を持つことから、貿易・国際物流・事業構築を得意分野としています。 趣味はスイーツ(食べること専門)、愛犬と散歩、ドライブ。

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