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為替相場は1ドル80円65銭であるべき? ビッグマック指数で見る本来の日本円の力

為替相場は1ドル80円65銭であるべき? ビッグマック指数で見る本来の日本円の力

はじめに

2022年の年初は、日本円が米ドルに対し115円程度でしたが、ここ最近は150円を付けるなど、円安が続いています。 円安のおかげ且つ、コロナ禍も明けたので、訪日外国人観光客も戻ってきて活況です。 訪日する外国人にとって、たしかに日本っていま”お得”だよね、と思い、その”お得度合い”を測る指数として、「ビッグマック指数」2023年版を見てみました。

ビッグマック指数とは

ご存じの方も多いと思いますが、ビッグマック指数(The Big Mac Index =BMI)は、経済紙「エコノミスト」が年に2回発表している経済指標です。 マクドナルドのビッグマックは、世界の多くの国で発売されています。 ビッグマックは材料や調理法等がほぼ共通だそうで、国が変われどほぼ同じ商品です。 そこで、そのビッグマックの値段を基準にして、各国の物価水準や為替相場を比較しているのが「ビッグマック指数」です。

2023年のビッグマック指数

オリジナルは「エコノミスト」紙の英語版です。 こちら

日本語版は、「世界の経済ネタ帳」にわかりやすく掲載ありました。こちら

以下の表は「世界の経済ネタ帳」を参照しています。

<対象54カ国>

これは、米ドルベースでの換算です。2023年7月時点のデータで1米ドル=142.08円で計算されています。

1位はスイスで、ビッグマック一つ「1,098円」です。

アメリカは8位で「793円」

日本は44位で「450円」です。 日本よりかも安くビッグマックを食べれるのは、ベトナム(444円)、マレーシア(414円)、台湾(339円)など少数派。

たしかに日本はいま”お得”と言えそうです。

なぜ同じビッグマックでも国によって値段が違う?

なぜ同じビッグマックでも国によって値段が違うのでしょうか?

経済学で学ぶ「一物一価の法則」が成り立つはずです。

※一物一価の法則: 完全競争が行われるならば、同一時点・同一市場では、同質の商品には一つの価格しか成立しないという経済法則。

この「一物一価の法則」は、配送コストや各国毎の関税などを考慮しなければ、 国境を越えても成り立つと言われています。

これを実現するのが為替相場です。

為替相場の動き

アメリカのビッグマックは793円です。

日本のビッグマックは450円です。

この場合、日本のビッグマックを買おうとするアメリカ人が出てきます。 日本のビッグマックを購入するために、ドルを円に替えるアメリカ人が増えます。アメリカにとって「輸入」です。

逆に、日本はアメリカでビッグマックを売ろう、という動きが出てきます。 アメリカでの売上代金のドルを円に替える動きが増えます。日本にとって「輸出」です。

結果、外国為替市場で「円買い・ドル売り」が増え、為替相場は「円高・ドル安」に動いていくことになります。

では、どこまで「円高・ドル安」に動くのか。 それは、

『日本とアメリカのビッグマック価格が同じになるまで』

です。

購買力平価

「日本とアメリカのビッグマックの価格が同じになるまで」。

その時の為替相場は、

日本のビッグマックの日本円金額 450円 ÷ アメリカのビッグマックの米ドル価格5.58ドル = 80円65銭

です。

「一物一価の法則」で考えると、目指すべき為替相場の水準は、1ドル80円65銭と言うことになります。

この為替相場水準を「購買力平価」(Purchasing Power Parity)と言います。

でも 実際は価格がバラバラ

でも実際は、各国によってビッグマックの値段はバラバラです。 なぜか。 その理由は、現実の為替相場が「購買力平価」から乖離して歪んだままだからです。 その歪み度合いが示されているのが、上述のビッグマック指数の表にある「BMI(%)」です。

これは、現実の為替相場が購買力平価からどれくらい乖離しているかを示します。

1位のスイスはBMI +38.51%。 つまりこれは為替相場が購買力平価よりも38%過大評価されているということです。
44位の日本はBMI ‐43.4%。 つまりこれは日本円相場が、本来の水準である購買力平価と比べて43%も過小評価されているということです。

実際は配送コストや関税などの関係、政治的・経済的な要因もあるため、為替相場と購買力平価が完全に一致することはないと言われていますが、購買力平価に近づこうとする力は作用します。 

まとめ

いままでビッグマック指数を、ただ単に各国の価格差、物価の違いを確認する程度に見ていましたが、今回は購買力平価と為替相場の関係を見てました。

いまの為替相場は日本円が弱すぎるので、本来水準にまではならないと思いますが、今後は円高傾向になるのだと思います。

海外とのビジネスを行っていると為替相場は大きな変動要素なので、ビッグマック指数を定期的にチェックしていきたいと思います。

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DICE.K

海外ネタを中心に書いてます。

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